女の本屋

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おとなになったということ『若かった日々』レベッカ・ブラウン(柴田元幸訳)

2010.02.03 Wed

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 家族以外の誰かをものすごーく好きになることは、親離れの一歩だと思う(といってわたしは恋愛至上主義者ではないが)。というのもそれは選択の余地のない人間関係の外に、幻想でも思いこみでも、絶対的な存在を見つけることだから。レベッカ・ブラウンの自伝的短編集『若かった日々』では、両親のこと、そして「若かった」「私」の恋心が描かれている。 親を独立した一個の存在として語れるということは「おとな」になったということなのだろう。じっさいに原題が“The End of Youth”というこの本の大半は両親と「私」についての物語なのだが、わたしのイチオシはガール・スカウトのキャンプに参加した高校生の「私」がスタッフの女子大生に恋をする「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」だ。歴史上の誰にでもなれるなら、ガートルード・スタインになりたいという女子大生「スカフ」、ガートルード・スタインのことは聞いたことはなかったが、そこから「スカフ」が自分には知らない世界のあることを伝えようとしているのを感じ取る「私」。キャンプファイアーでふたりはタンゴを踊る。映画『暗殺の森』のドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリのタンゴ・シーンを思い出した。(lita)








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