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半分のぼった黄色い太陽
2010.10.04 Mon

半分のぼった黄色い太陽
訳者など:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ ()
出版社:河出書房新社
著者はナイジェリアの若きホープの作家だ。アフリカ文学の重鎮チヌア・アチェベは著者を「ストーリテラーの才能を備えた作家」と絶賛した。 本書のタイトル「半分のぼった黄色い太陽」は、ナイジェリアから分離独立したビアフラ共和国(1967−70)の国旗の真中にある図柄だ。ビアフラはナイジェリア連邦政府から戦争布告を受け、兵糧攻めにあった。戦渦による犠牲者を100万人も出した。イギリスはナイジェリア側に、ソ連はビアフラ側に武器を供与し、石油の利権をめぐり、ビアフラを舞台にした西欧諸国の代理戦争と化した。チヌア・アチェベやフロラ・ンワパ、戦死をした詩人のクリストファー・オキボらは、ビアフラ戦争を題材にして作品に書き、イボ民族の存亡を訴えた。 しかし、著者はビアフラ戦争を知らない世代で、学校ではビアフラ戦争について教えられることがなく、自国の歴史を無視する傾向に疑問を感じた。両親から聞いた数々の話が本書を書かせる動機となった。ナイジェリア独立の年1960年とビアフラ独立の年1967年を対照的に扱い、戦下の人間模様を鮮明にした。 著者は「ビアフラ戦争をもとに書いているが、私自身の想像上の真実を描いた」という。自らを「作家」というよりは、「ストーリテラー」だというだけあって、本書には、いくつもの語りの物語がある。大学教員の恋物語、双子の女きょうだいの物語、白人とアフリカ人の恋物語、ハウスボーイの観察物語、親と娘の確執、母親と息子の物語、飢餓と栄養失調によるクワシオルコルで苦しむ子供たち、戦渦を生き抜く人びとの物語、子供の教育問題、アフリカ諸国が抱える政治等が語られる。 戦争は政治判断であり、支配者のエゴ、野望の表現であるが、作家の関心は、戦下での人間模様、人間関係、生死の問題、愛と夢の実現にある。著者はアフリカ人女性としての経験や生活をつぶさに書き、集団的欺瞞に挑戦しようとした。政治をとりまく状況を、ジェンダー、階級、民族の視点から明らかにした野心的な作品。国際ペン大会に初来日した。 (産経新聞書評 楠瀬佳子)
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