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ヒトラー・ユーゲントの若者たち―愛国心の名のもとに

2011.08.09 Tue

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ヒトラー・ユーゲントの若者たち―愛国心の名のもとに

訳者など:スーザン・キャンベル バートレッティ ()

出版社:あすなろ書房

 ナチスによる瞬く間のドイツ制圧と、他国への侵略はどのようにして起こったかの重要な側面を描くドキュメント。1931年から45年まで、たった十数年の間に子どもたちが洗脳され、時に親まで密告までするようになり、ナチスへの忠誠を示す過程が、当事者たちの証言を元に描かれていきます。  最初は特権的子どもとして誰もの憧れの的となり、やがて、その特権に誰しも惹き付けられるようになると、全員が入隊を許されていく。その頃には初期のユーゲントたちは20代のりっぱな親衛隊として、大人をも支配する技を持つ人間へと成長してしまっている。  実際にドイツがポーランドに進行した時を考えれば、ユーゲントの始まりから10年ほどで、国の力となる若者たちはほぼすべて、独裁者に従う集団となっています。基礎教養も何も与えず、忠誠心だけを教え込むのに、そんなに時間はかからないわけです。  他国事と考えず、気をつけましょう。たとえば、2010年11月3日、大阪府の橋下知事は、「権力を握る人間にリーダーの素養を身につけさせるのは社会の義務」と述べましたが、この発言は、同じ事の裏返しです。「権力を握る人間」(独裁者)以外は、愚民でいいといっているに等しいのですから。従って、橋下はヒトラー的「リーダーの素養を身につけ」ているのかもしれません。

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