2011.08.09 Tue

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この世のおわり

訳者など:ラウラ・ガジェゴ・ガルシア ()

出版社:偕成社

 『漂泊の王の伝説』の作者二十歳のデビュー作。  千年紀、この世は終わると信じた若い修道僧が、その事態を回避するために三つの時間軸の宝石を集めようと旅をする。その頼りなさを見かねた吟遊詩人が同行し、やがてそこに吟遊詩人になりたい少女も加わる。  終末を求める闇の結社、それを操る女性と、人物配置も、「文学好き」にとっては重厚でもユニークでないにしろ、手堅い。  戦いがそれほど起こらないのが不満の向きもあろうが、戦ってナンボのファンタジーなど目指してはいないのでしょう。  軽いストーリーでありながら、口承を支持する吟遊詩人と、文献重視の修道僧の議論や、性差別に満ちたキリスト教(だけではないですが)への批判など、若い読者が考えていい話題がちゃんと含まれている点で、買い。  一〇世紀末ヨーロッパガイドでもあります。

カテゴリー:人文 社会 思想 / ひこ・田中の、 子どもの本イチオシ

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