わたしの世界一ひどいパパ ほか二編 (世界傑作童話シリーズ)
2011.08.09 Tue
わたしの世界一ひどいパパ ほか二編 (世界傑作童話シリーズ)
訳者など:クリス・ドネール ()
出版社:福音館書店
九〇年代に書かれたクリス・ドネールの作品の中から3編を訳出。 どれも未だに新しい物語たちです。 表題作は、タイトル通りのパパの話。消防士のパパは報奨金をもらうために放火をしていたのがばれてクビに。ばくちに手を出し、借金漬け。 車の停滞にいらついたパパは別の車の男性にクランクで襲いかかります。 といった、牢屋に入るまでのパパの行状が、パパと面会するまでの過程の中で語られていきます。 「わたし」はそれでもパパをきらいではありません。 面会の途中パパは警官の銃を奪って、「わたし」を連れて逃走。最後には恋人と一緒に、「わたし」をホテルに置き去りにしたまま消えてしまいます。 まあ、とんでもない親なのですが、読んでいて別段怒りを感じないところが、巧いです。 そのことで、親という物の幅をこれまで以上に広げて示してくれています。 こんな親に当たってしまう子どもはめったにいないでしょうが、延長線上にこんな親もいるのは確かだと想像しておくのは悪いことではありません。 むしろ、ちょっとほっとします。 もう一つ、子どもの願望物語という読みも可能です。
カテゴリー:家族 / ひこ・田中の、 子どもの本イチオシ
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