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女性・戦争・人権学会11号

2011.12.01 Thu

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今年二〇一一年七月三一日には、大阪歴史博物館で、「日本軍「慰安婦」被害者、金学順さん証言から二〇年」というシンポジウムが開催されました。そのチラシには、じっと金学順さんがわたしたちを見つめている写真が付されていました。

金さんがわたしたちに投げかけた問いは、歴史的な問いかけであったことは確かですが、その問いかけに応答するどころか、彼女の訴えは、ここ日本社会では聞き届けられず、かき消されようとされたり、耳を傾けようとする人たちへの妨害にあったりしながら、まだ歴史の中にしっかりと足場を築いているとは言い難い状況にあります。二〇年を経てなお、というべきか、二〇年も経ってしまったから、というべきでしょうか、昨年度政権交代を契機に歴史が動くことを期待したわたしたちの願いは、残念ながら裏切られ続けています。

 第十一号には、昨年度第十四回大会シンポジウム「「女性国際戦犯法廷」10年を迎えて」のシンポジストからの寄稿を始め、歴史のなかでともすれば見過ごされがちなさまざまな暴力の痕跡を丁寧に論じる論文やエッセイが多数寄せられました。学会のこれまでの活動は、過去を振り返り、過去にとどまり続ける様々な傷跡を丁寧に掘り起こしていくことが、未来への一歩、しかも、わたしたち自身をも変化させるような一歩となることを信じて行われてきました。本号に記載された一本一本から、読者のみなさんがそうした力を得てくれることを願っています。(岡野八代)

以下が、第11号の目次です。

【特集】 「女性国際戦犯法廷」一〇年を迎えて

――ハーグ判決実現に向けた課題と展望

十一号発刊に際して 岡野八代  2

【シンポジウム報告】

「女性国際戦犯法廷」一〇年を迎えて 岡野八代・企画委員会  4

日本軍「慰安婦」研究の成果と課題 林 博史  6

従軍慰安婦訴訟が問うたもの・今後の課題 松本克美  31

【論文】

軍事主義の囮(デコイ)としてのジェンダーの「逸脱」表象 池田直子  43

シングルマザーの物語が持つ可能性 中川志保子  63

【特別寄稿】

もう一つの女性解放と開発に向けての選択? 松本 ますみ  89

【エッセイ】

『苦悩』に見るデュラスの「愛」 上田章子  117

【書評】

林博史著『沖縄戦が問うもの』  仲里和花  121

藤目ゆき著『女性史からみた岩国米軍基地』  岡野八代  125

宋連玉・金栄編著『軍隊と性暴力』  秋林こずえ  128

「女性・戦争・人権」学会規約  133

『女性・戦争・人権』誌 投稿規定  136

Summary of the Articles  141

執筆者一覧  143

編集後記  144

第11号








タグ:慰安婦 / / 広告 / 戦時性暴力