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4.8 もったりを愛そう!! yuki

2012.05.25 Fri

長い時間をかけて女たちがとらえ直してきた、矛盾しながらも多様性に満ちた「オンナのカラダ」が、原発をめぐる言説の中で、「産む性」一色に塗られていく状況に疑問をなげかけた堀さんのエッセイを読んで、最近の私はずっと「女の身体」について考えている。

人生において、あんまり細身の部類に入ったことが無い私にとって、美の第一条件は細いことであり、スレンダーな人を見ると羨望の眼差しで見つめていたのだが、それが最近どうも違う。気がつくと自分の腹をなぜながら「あぁ、今日もお腹がポヨポヨしているな~」とのんきに考えていて、二十代前半のころよりも、自分の腹に寛容になっていることに気づく。ウエイトを増す自分の身体がパワフルになった気がして、悪くないと思い始めている。

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女性マンガ家たちにも、女性の身体をすごくポジティブにとらえて描く作家が増えていて、そういう人に出会うと無条件にうれしくなる。その筆頭が森薫で、彼女は女性が持つ、もったりとした優美なフォルムを心から愛しているように見える。彼女の描く太くもなく細くもない力強い女の腰回りは他の追随をゆるさない。

その愛は彼女の代表作であるヴィクトリア時代のメイドの恋物語『エマ』や、現在連載中の『乙嫁語り』に満ち満ちており、入浴シーンや着替えシーンで力強い女性の身体が描かれている。また、短編を集めた『森薫 拾遺集』は、バニーガールや水着の女性など、彼女の描くいろいろな女性たちに出会えるお得な一冊だ。

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これまで女性の身体は、女性作家によってさえ、むしろ女性作家にこそ、あまりポジティブに描かれていなかったように思う。思春期の胸のふくらみや、生理や、身体がふくよかになっていくこともろもろの変化は、気恥ずかしく、ままならないもので、女子高が舞台の吉田秋生の名作『櫻の園』で描かれているように、ときにはつらいこともあったかもしれない。

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けれども、女が自分たちの身体を恥ずかしいとか、いやらしいとか思ったりするなんて変なことで、『臨死!!江古田ちゃん』のエコダちゃんが全裸で仁王立ちしているところとか本当に力強くて、かっこいい。

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ほかにも、雁須磨子の描く女の身体は、お腹がポテっとしていたり、二の腕が太めだったりする。『幾百星霜』では、大正時代の女学生でもったりとした身体の女の子が男装にチャレンジしてみたりする様子が出てきて微笑ましい。

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そして、忘れてはならないのが河内遙で、彼女の描く女の子の胸のラインって本当にリアルだし、『ケーキを買いに』に出てくる中学生の女の子が同級生の女の子に言ったセリフ「自分の性器がどんなカタチしてるかくらい 知ってなきゃダメよ 委員長」は歴史に残る名ゼリフだと思う。

女が女自身の手で女の身体を描くこと、そこに込められたポジティブさに、新しい風を感じずにはいられない。

次回「女と体と老いと」へバトンタッチ・・・・つぎの記事はこちらから








カテゴリー:リレー・エッセイ

タグ:身体・健康 / / 漫画