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新政権への期待 姫岡とし子
2009.09.20 Sun
9月16日に行われた組閣後の記者会見を聞いて、私は久しぶりに興奮した。これまでの政権に期待したことはなかったけれど、今回は少し、いやある部分に関してはかなり期待できるのではないか、という気持ちになった。
まず、困難の多い政治の世界にとどまり、社民党を変えてきた福島瑞穂さんにエールを送りたい。今回の就任記者会見も、大臣として彼女に期待されることを多面的に把握する冷静なまなざしと、変革への意思と情熱が感じられて、とてもよかった。彼女への攻撃もいっそう強まると思うけど、がんばって。 でも、私がもっとも感動したのは、藤井財務大臣の発言。実は、総選挙以降、たびたびテレビで話を聞いていて、なかなかいいことを言うし、骨がありそうと注目していたのだけど、今回、あらためて彼の能力に感心した。彼の「経済は生活」という出発点。今は高度成長時代じゃないのだから、誰かが儲ければ一億総中流になるという発想はもう駄目なのだという視点。儲けの結果は、格差社会ですからね。自民党が内部争いをしてきた「成長路線」とも「緊縮財政」ともおさらばし、生活を基盤とする福祉経済の実現をめざす。だから自民党的発想ではバラマキと揶揄される子ども手当も、彼は福祉経済が経済浮揚につながり、バラマキとは根本的に異なると一蹴したのだ。
もちろん雇用の問題には触れない(管轄が異なるためだけではないでしょう)など、批判はいろいろあるが、でも従来とは異なる視点と資源配分で財務を担当するという姿勢にはおおいに共感できる。77歳とはとても考えられない精神的若さ!鳩山さん、横槍を退けて、よくぞ彼を財務大臣に任命してくださいました。
そして財政の仕組みの変化が、社会の仕組みの変化にもつながっていくことを期待したい。私の専門とするドイツでは、休業補償という形で育児手当に膨大な財源を支出しているが、それは子どもの大切さ、女性の就業意欲、従来型家族の変化を認め、あらたな社会の仕組み作りが必要という考えにもとづいている。発想の転換が経済成長につながるという考えから、経済界も応援している。日本でも、財務の転換が社会の転換につながってくれるといいのだけど。
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