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娘とみる「プライドと偏見」 マダム・ルーズ
2009.10.10 Sat
ティーンエイジャーのときに『高慢と偏見』を岩波文庫ではじめて読んでから、すでに30年以上たっている。これが最近『プライドと偏見』として映画になっていると聞いて、DVDを借りてきたときのこと。
「ママってこういうゴージャスなドレスを着ている歴史ものの映画が好きだよね。『風とともに去りぬ』とか、『マイフェアレディ』とか」と、半ば呆れ顔のティーンエイジャーの娘。一緒に見始めるや、次から次へと質問を繰り出してくる。逐一解説を入れる羽目に陥ってしまって、初回上映会はじっくり見られなかった(つまり、その後もしつこく何度も見ているということ)。
「何でそんなに結婚しないといけないの?」
「この当時のイギリスはね、女性に相続権がなかったのよ。だから、財産のある男性と結婚しようって話になるわけよ。親に財産があっても相続できないってのが、この話の時代背景にはあるわけね。」
「でも、じゃあ働いたらいいじゃない?」
「当時はね、階級がはっきりあって、中産階級以上のお嬢さんがしていいとされた仕事は、ガバネスという上流社会家庭への住み込み家庭教師職くらいしかなかったのよ。同じ階層の男性だって、つける仕事の種類はそんなになくって、家産を継げない男性にとってジェントルマンとして認められやすい仕事としては、たとえば牧師になるとか、軍人になるとかしか選択の幅がなかったわけ。」
「どうしてダンスしたくらいで結婚間近って話になるのん?」
「どうして妹が駆け落ちしたくらいで大騒ぎになるのん?妹は妹じゃない。」
次から次へと出てくる質問に答えながら(ああDVDでよかった。映画館だったら周りの迷惑。大顰蹙!)、自分が初めて『高慢と偏見』を読んだときには、こういう疑問ってあんまり出てこなかったような気がするなあ、と思い返してみる。
30年前には、やっぱり「女の子は結婚しないといけない」「女の人生、結婚で決まる」なんていう圧力を前提に自分も生きていたからではないか、と、ハタと気づく。でもって、私は『高慢と偏見』を読みながら、きわめて都合よく教訓を引き出していたことにも気づく。「自己主張ができる賢い女の子がステキな男性と結ばれる」・・・。
うーん。ご都合主義っちゃ、ご都合主義な教訓の引き出し方だ・・・。でも、こういうパターンの物語が私はその後も大好き。「恋愛市場」からは別段降りるつもりはないけれど、「あなた好みの私になります」というには自我が強かったオトメな私としては、このパターンはツボにはまっているわけです。
それにしても、30年間で社会は少しはよくなったんじゃないのかしら?『高慢と偏見』の物語のシチュエーションを教えないとわからなくなるという程度には。お金がないから結婚だなんていうくらいなら、自分のやりがいのある仕事をみつけて、働いて稼いで生きていこう!って考えられる程度には。雇用機会均等法も捨てたものじゃないよね、と思ったひと時でした。
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