エッセイ

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復興事業の根幹に人権の視点と人権施策を 国内人権機関と個人通報制度の実現を求める共同行動 

2011.04.29 Fri

国内人権機関と個人通報制度の実現を求める共同行動は、2011年4月25日、下記の要請書を菅直人総理大臣宛に送付しました。また、末尾記載の各位にも複写として送付(一部、メール等での送信)しました。

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2011年4月25日

総理大臣  菅 直人 様

復興事業の根幹に人権の視点と人権施策を

東日本大震災にともなう復興事業において人権をその根幹に置くよう求めます

東日本大震災により、多くの人命が失われ、被災地域における生活環境が徹底的に破壊されました。私たち、国内人権機関と個人通報制度の実現を求める共同行動は、亡くなられた方がたのご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されたみなさまに対して、心よりお見舞い申し上げます。

今回の震災は、地震と大津波により被災地域が広範に破壊され、死者および行方不明者の規模が約3万人に及ぶという甚大な被害であるのに加え、東京電力福島第一原子力発電所で今なお収束していない事故のため放射性物質の大量流出が起きているという点において、これまでの自然災害にはない様相を呈しています。今回の震災の動向には、今も引き続き世界中の耳目が集まっています。また、隣国をはじめ世界各国から多くの支援が寄せられています。

震災の被害への対応については、どのような場合でも、人命と人権が最優先されなければなりません。震災による心的外傷や長期にわたる避難生活の中で生じるストレスに対するケアやサポートはもちろんのこと、被災地や避難生活の中での差別や人権の侵害を防止する措置が必要です。

さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故現場などでは、作業員が十分な環境が整備されないまま、放射線被ばくの危険にさらされながら作業を続けています。また、報道によれば、たとえばつくば市での福島県からの転入者に放射線検査証明を要求するなど、理不尽な差別的取り扱いも発生していると伝えられています。一刻も早く、震災対応の全般にわたって人権を保障する枠組みと具体的な措置が導入される必要があります。

今後、必要となってくる復興については、国際的に認められた人権基準に沿って政策が立案されることが必要です。国連社会権規約委員会が、阪神淡路大震災に関わる政策を踏まえて2001年に提言している内容は、今後の復興の中でも生かされなければなりません。

以上に鑑み、当共同行動は、日本政府および復興に向けた関係当局に対し、以下を申し入れます。

1.  世界人権宣言および自由権規約や社会権規約をはじめとする、国際的に認められた人権諸基準を復興政策の根幹に据えること。
2. 国または自治体での復興政策の立案、推進に際しては、必ず人権政策を担当する専門官を設置すること。
3. 復興政策の立案に際しては、必ず被災当事者の参加を確保しその意見を反映させること。また、復興政策の立案、推進に関わる機関については、ジェンダーバランスに配慮するほか、メンバーの国籍を問わないこと。社会に暮らすさまざまなマイノリティの参加を広範に保障すること。
4. 復興政策の立案と復興施策の実施にあたっては、部門別の縦割り行政を排し、被災当事者を総合的に支援すること。
5. 原子力発電施設の安全性に関わる問題について透明性を確保し、関係住民に対してあらゆる必要な情報を多言語で遅滞なく公開すること。
6. 特に高齢の被災者や障がい者、外国籍の被災者などに対して、医療や介護、各種申請手きなど適切なコミュニティサービスを提供すること。
7. 貧困状態あるいは震災により収入手段を絶たれた被災者が、倒壊した家屋を再建するために適切な扶助をおこなうこと。
8. 以上を効果的に処理、推進することを重要な任務の一つとして、国内人権機関の設置を急ぐこと。

複写送付:
枝野幸男内閣官房長官
仙谷由人内閣官房副長官
辻元清美内閣総理大臣補佐官
全国知事会
全国市長会
全国町村会
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問合せ:
国内人権機関と個人通報制度の実現を求める共同行動
106-0032 東京都港区六本木3-5-11
人権市民会議気付
cc.for.hr@gmail.com

カテゴリー:震災 / 男女共同参画

タグ:東日本大震災 / 人権