エッセイ

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晩ごはん、なあに?(7)おばあちゃんの味、おふくろの味  荻野美穂

2011.06.30 Thu

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根っから食いしんぼうの私は、いろんな料理本や食にまつわる文章を読むのが大好き。子どもの頃から、石井好子さんの『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』とか、森茉莉さんのエッセイに出てくる食べ物話とかを読んでは、うっとりしていました。 最近読んで楽しかったのが、阿古真理さんの『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』。タイトルにあるとおり、祖母・母・著者自身(偶然にも、私の大学の後輩であることが判明)の三代の女性が、田舎の土間の台所で、都会のアパートのキッチンで、そして現代の東京で、何を作り、食べてきたかをふり返ることを通して、戦後日本社会の暮らしの変化を手に取るように描き出した本です。で、読みながら、ついつい私も昔にタイムスリップ。

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子どもの頃は父方の祖母が同居していました。住んでいたのは阪神間の、わりと「ハイカラ」な環境だったのですが、田舎出身の祖母も父も断然和食党だったので、うちの食卓にはカレーもシチューもハンバーグもオムライスも、まるで登場しませんでした。出てくるのはいつも、お刺身(関西では「おつくり」)か煮魚か焼き魚、お吸い物か味噌汁、野菜の煮物に酢の物、といった地味~な料理ばっかり。でも、煮魚をした翌日、おばあちゃんが鍋に残った煮汁を細かく刻んだ具と一緒に練り上げて作ったおからは、しっとりと味がしみて、ほんと、おいしかったなあ。

あの味にもう一度めぐり会いたいと、最近はしゃれた割烹店のメニューにまで登場するようになったおからを注文してみたり、ときどき自分でも作ってみたりするんですが、「幻のおから」にはたどり着けないままです。 ほかにおばあちゃんの味として思い出すのは、冬になると樽に何杯もつけ込んでいた白菜の漬け物(冷たくしゃりしゃりした茎の部分もおいしいけど、柔らかい葉先の部分でご飯をくるんで食べるのが大好き!)とか、蒸したもち米をすりこ木でつぶして(おばあちゃんはたしか、「半殺しにする」とぶっそうなことを言ってました)丸めて、小豆あんや黄粉をまぶして作ったおはぎとか。これは正しくは、春は牡丹が咲くから「ぼたもち」、秋は萩の花で「おはぎ」と呼ぶんだそうですが、うちでは一年中「おはぎ」で通っていました。

一方、母方の祖母は姫路に住んでいて、ときどき会う程度だったのですが、このおばあちゃんから教わったレシピにいまも忠実に作り続けているのが、コロッケ。といっても、じゃがいもを茹でてマッシャーでつぶし、別に炒めて塩こしょうしておいた牛挽肉とタマネギのみじん切りを加えて丸め(うちは断然、平丸型ではなく小ぶりの俵型です)、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけて油で揚げるという、なんの変哲もない作り方です。ただ一つだけ、おばあちゃんにコツとして教わったのが、つぶしたじゃがいもに塩こしょうで味付けするとき、ちょっぴり砂糖を入れること。ほんのひとつまみ、おまじない程度の隠し味ですが、ほくほくしたコロッケが一段とおいしくなるような気がして、何十年とこのやり方で来ています。

ところで、いまはとっくに成人した息子たちに聞くと、彼らの「おふくろの味」の一番は、鶏肉にトマトたっぷりのチキントマト・カレーなんだそうです。そう言われてみれば、彼らがまだ家にいて食べ盛りだった頃には、骨付きもも肉をヨーグルトとスパイスに漬け込んでおいて焼くタンドーリ・チキンとか、大皿に詰めてオーブンで焼くラージ・ハンバーグとか、大鍋一杯のビーフ・シチューとか、ボリュームたっぷりの洋風料理をよく作っていましたっけ。

近頃のわが家の食卓では、ひじきの五目煮(人参、大豆、コンニャク、揚げ、ときどきちくわやさつま揚げなどが入ります)、せんぎり(切干大根のこと)と揚げを炊いたの、万願寺とうがらしをじゃこと一緒にさっと炒め煮にしたの、ごぼうと人参のきんぴら等々、昔々のうちの食卓みたいな地味系のおかずがすっかり幅をきかせています。あ、でも同じ野菜料理とはいえ、最近はやりのタジン鍋を使った蒸し煮やオリーブ・オイルを使った料理もよく登場するところは、やっぱり今風になってますね。

この前、上の息子のつれあいに「作り方を教えてください」と頼まれてチキントマト・カレーを作ったのですが、久しぶりだったせいか、いまいちうまく昔の味を再現できませんでした。で、リベンジも兼ねて、今日は再度作ってみることに。

材料は、鶏もも肉、玉ネギ、ニンニク、生姜、トマト(生のよく熟したもの、なければ缶詰でもOK)、塩こしょう、カレー粉と好みのスパイス(クミン、ターメリック、ガラムマサラ、鷹の爪かチリなど)、オリーブ油かサラダ油を用意。 鶏とトマトの分量はお好みで良いですが、今日はさっぱりと仕上げたかったので、鶏肉250gに、トマトは生を2個に缶詰を1缶と、トマトを多めにしてみました。作り方は、とってもシンプル。

1)鶏肉を食べやすい大きさに切り、塩こしょうとカレー粉をまぶしておく。

2)ニンニク、生姜はみじん切り、玉ネギは荒みじん切りか千切りにする。

3)トマトは、生の場合は熱湯で皮を湯向きしてから、大きめの乱切りにする。缶詰トマトなら、煮ているうちに適当に崩れるので、そのまま。

4)強火の油で鶏肉を炒め、まわりに焼き色がついたら取り出しておく。

5)ニンニク、生姜を炒めて、香りが出たら玉ネギを加えて炒める。しんなりしたら、鶏肉とトマトを加え、塩こしょう、カレー粉と好みのスパイスを加えてしばらく煮込む。

6)トマトが溶けていい感じに崩れたら、味をみて、必要ならカレー粉やスパイスを足して仕上げる。トマトから水分が出てソースがサラッとしているので、ご飯は固めの方が合う(今日は、発芽玄米と白米を1:1で)。

うん、今日はわりとうまく出来ました。一緒に人参とクルミとカッテージ・チーズのサラダを作ったら、同色系の取り合わせになってしまいましたが、気にせず、ビールと一緒にいただきま~す!








カテゴリー:晩ごはん、なあに?

タグ: / 荻野美穂

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