エッセイ

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上映会「山川菊栄の思想と活動」に参加して  中原朝子

2011.07.03 Sun

山川菊栄(以下「菊栄」)イコール初代労働省婦人少年局長という程度の知識しかなく、この上映会に参加した。まず上映を前に竹中恵美子氏が「山川菊栄に魅せられて」と題し、菊栄とはどういう人か、そしてその功績について話された。彼女は、第一に理論家であること、第二に世界の動きを視野にいれたインターナショナルな人であること、第三に実行の人であり、功績としては、保護と平等の問題を資本主義のあり方から統一的に捉えたこと、差別を階級支配だけでなく性および民族による視点からも捉えていたこと、婦人の特殊要求を打ち出したこと、制度だけでなく女性の意識改革の重要性を打ち出したことがあげられた。

また上映後山上千恵子監督からは、派手さはないが鋭い理論に魅力を感じられたこと。そして資料を読む中でであったメッセージ「姉妹よ、まずかく疑うことを習え」にこめられた、なぜそう自分は思うのか、なぜそうするのか、立ち止まって疑うことから始まる女性自身の意識変革を促すメッセージに、女性の可能性を信じる菊栄の温かい思いを感じたこと。いまだになくならない女性に対する差別に対し、歴史をつなげることの必要性を感じたといったことが述べられた。

菊栄の功績は多岐にわたり、映画の中で人それぞれ興味をもつ点は異なると思われるが、私が映画を見終わった際に思ったのは2点ある。1つは婦人少年局長に就任した際に、地方の婦人少年局室長を全員女性にしたことである。2011年現時点において第三次男女共同参画基本計画に喫緊の課題としてあげられているのが指導的立場にある女性の比率の向上であり、その数値目標が30%であることを思えば、地方の婦人少年局長を全員女性にしたことは偉業である。相当の困難を伴うものであり、理論だけでなく周到な戦略を練って説得してまわったものと推測される。この偉業を成し遂げるにあたっての理論的根拠や戦略方針をどのようなものだったのかを知りたいと思ったことである。

もう1点は、菊栄と竹中氏が似ていると思ったことである。保護と平等、アンペイドワークの位置づけといった女性の労働問題に対する視点が似ているだけでなく、周りとの関係性のあり方である。菊栄の周りに「婦人問題懇話会」があり、そこで研究者や運動家たちがともに学びあいつながっていたことと、竹中氏のもとに「セミナー竹中恵美子に学ぶ 労働・社会政策・ジェンダー」があり、そこで1年間研究者や運動家たちがともに学びあい、つながってきたことがとても似ていると感じたのは私だけではないだろう。私も含めセミナーに参加していた人たちは、婦人問題懇話会のメンバーに相当するのではないか。

婦人問題懇話会が多様なテーマをとりあげ調査や研究を行い、理論を実践に、実践をまた理論にフィードバックしていく活動を行い女性の解放をめざしていったように、竹中セミナー参加者も、疑ったことをともに調査し、話し合い、理論化していく中で、菊栄や婦人問題懇話会のメンバーともつながることができるのか・・・。初代労働省婦人少年局長という程度の知識しかない私は、まずは山川菊栄の著作を丁寧に読むことから始めたいと思った次第である。

カテゴリー:セミナー「竹中恵美子に学ぶ」

タグ:映画 / 中原朝子 / 山川菊栄

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