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離婚の方法 【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-2  

2011.10.18 Tue

【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-2 離婚の方法

 2 調停の流れ

 相手方が離婚の話し合いに応じてくれない場合,あるいは,話し合いがまとまらなかった場合には,夫婦関係調整調停(離婚)を申立てます。

◎ 調停前置主義

 原則として、調停をしないでいきなり裁判を起こすことは出来ません(家事審判法18条1項・家事事件手続法257条1項。家事事件手続法は2011年5月成立し,非訟事件手続法施行日に施行される予定で,それと同時に現行の家事審判法は廃止されます)。相手方が行方不明といった事情がなければ,例外として扱ってもらえません。

◎ 調停の申立て

 調停の申立書の書式は,全国の家庭裁判所でもらえます。あるいは,裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です(http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/syosiki/pdf/01_23huhukankeityoutei.pdf)。以前は申立書は相手方に送られることはありませんでしたし,相手方が裁判所に頼んでコピーを取ろうとしても認められないことがほとんどでした。しかし,家事事件手続法(256条)は原則として相手方に申立書を送付することとしました。家事事件手続法の施行前から,東京家庭裁判所等いくつかの裁判所では,相手方に申立書を送付する運用が開始されていますので,ご注意ください。
 申立ての際には,戸籍謄本も提出します。年金分割も求める場合には,年金分割のための情報通知書も必要です。
 申立てに必要な費用は,収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手です。連絡用の郵便切手代は,申立て先の家庭裁判所により異なりますので,確認してください(家庭裁判所のウエブサイトに掲載されている場合もあります。)。この程度の金額で,調停委員会も構成され,調査官も同席したり場合によっては調査までしてくれたりします。タダの協議離婚には負けますが,とても安価です。
 申立先は,相手方の住所地の家庭裁判所か,当事者が合意した家庭裁判所です(家事審判規則129条1項,家事事件手続法245条)。郵送でも可能です。

◎ 申立てからの流れ

 調停を申し立てると,数週間後に家庭裁判所から双方に呼び出し状が届きます。なお申立人に代理人がついている場合には,家庭裁判所から事前に期日について代理人に打診があります。呼び出し状には,申立てから約1か月から約1か月半後に指定された初回期日や待合室の場所等が記載されています。
 初回期日で話し合いがまとまることはほとんどなく,第2回期日が初回期日の後約1か月ほど後の日にちに指定されます。その後も1か月~1か月半程度の間隔をあけた期日での話し合いを繰り返していくことになります。1回は2時間くらいです。
 調停では,家事審判官(裁判官)1名と,調停委員2名(女性,男性)からなる調停委員会から事情を聴かれます。もっとも,裁判官は,通常は同席せず,ほとんどの時間は,男女の調停委員と話をしていくことになります。
 話し合いがまとまった場合,調停成立として,調停委員会,裁判所書記官が立ち会い,当事者が同席して,調停条項が読み上げられ,調停調書が作成されます。調停を繰り返しても話し合いがまとまらない場合,調停不成立となります。なお,調停を取り下げることもできます。

◎ 調停が成立したら

 調停調書には,離婚,財産分与,慰謝料,親権,養育費,面会交流等の条件が記載されます。調停調書は判決と同じ効力があり,たとえば相手方が条件通り慰謝料などを払ってくれない場合には強制執行が可能です。とても大切な調停条項ですから,読み上げの際にはよく注意し,疑問点があれば遠慮なく質問する等して,後で「誤解してた!」なんてことがないようにしたいものです。
 調停成立の日が離婚の成立の日となりますが,役所に届け出が必要です。調停成立の日を含めて10日以内に,調停調書の謄本をつけて離婚届を提出します。本籍地が変わる側が届け出をするのが一般的です。協議離婚と違い,証人の署名押印は不要,相手方の署名押印も不要です。
戸籍に離婚が反映され次第,その戸籍謄本をつけて,年金分割の按分割合を記載した調停調書抄本等を持参して,社会保険事務所に年金分割の請求をします。

 

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 弁護士 / フェミニズム,家族,離婚, 打越さく良,エッセイ,離婚ガイド,親権