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平成生まれの学生たちによる「映画祭1968」 青山リサ

2012.01.10 Tue

ゴダール映画『東風』上映前、上野千鶴子氏トーク決定!     Japanese text by Lisa Aoyama

Film Festival 1968 (Jan. 28 to Feb. 3, 2012) organized by young Japanese  college students welcoming Chizuko Ueno as a guest speaker before screening Godard’s film, Wind from the East, on January 31st, Tuesday, 2012, at Auditorium Shibuya.

 

学生運動が盛んだった「1968年」をテーマに、激動の時代を描いた12本の作品を一挙に上映する「映画祭1968」を、1月28日(土)〜2月3日(金)、オーディトリウム渋谷にて開催します。

 これは私たち日本大学芸術学部で映画を学ぶ3年生が企画・交渉・運営をする映画祭です。上映作品は『絞死刑』(’68年、大島渚監督, Death by Hanging, Nagisa Oshima)、『東風』(’69年、ジャン=リュック・ゴダール監督)Wind from the East, J.L. Godard、『ドリーマーズ』(’03年、ベルナルド・ベルトルッチ監督)The Dreamers, Bernardo Bertolucci、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(’08年、若松孝二監督)United Red Army, Koji Wakamatsuなど当時の作品とその後この時代を扱った秀作を内外から揃えました。

また『日大闘争』、『続日大闘争』(’68年、日大全共闘映画班製作)The Nichidai Zenkyoto:Struggle for Student’s Right (Volume 1、2)、『圧殺の森 —高崎経済大学闘争の記録—』(’67年、小川紳介監督)The Oppressed Students or Assatsu no mori: Takasaki Keizai Daigaku toso no kiroku, Shinsuke Ogawaなどといった当時の貴重な記録映画を、フィルム上映で見ることができる絶好の機会です。

期間中は映画監督や学生運動の関係者を招いたトークショーも行なわれ、1月31日(火)の『東風』上映前にはWAN理事長の上野千鶴子氏が登壇します(12:30~12:50)。

1968年当時京大生であり、自身も経験した学生運動について長く口を閉ざしていた上野氏ですが、今回、主催者である私たち学生のオファーを快く受けてくださり、トークショーが実現しました。

上野氏にとって「1968年」とはいったいどのような年だったのか、期待が高まります。

There will be a talk by Chizuko Ueno, a Japanese sociologist and a leading feminist, currently a president of WAN (Womens’ Action Network) from 12:30 to 12:50 p.m.  before screening J. L. Godard’s film Wind from the East on January 31, Tuesday.

その後上映する『東風』は、巨匠ゴダールが60年代後半の世界の混乱と溢れんばかりのエネルギーを圧倒的な量の言葉と色彩で表現した実験的映画です。合わせてお楽しみください。

この映画祭は、私たちが去年『マイ・バック・ページ』(山下敦弘監督)My Back Page, Nobuhiro Yamashitaを見たことをきっかけに始まりました。60年代後半に起きた事件をもとに革命家とジャーナリストの物語を現代的感覚で描いたこの映画を見て、60年代の学生運動は何のための戦いだったのか、あの時代の熱気はどこから来たのか、そういった小さな疑問からの出発です。

1990年前後に生まれた私たち学生にとって、60年代の学生運動は遠い世界です。しかし、当時の学生たちが運動に参加していった姿からは、今この時代に見て、知っておかなければいけないエネルギーを感じます。

学生運動が残した影響は、現代の私たちの生活とは切り離せず、その運動を記録し、舞台にした映画もまた、映画の現在とも切り離せない重要な作品です。

「映画祭1968」は、ともすれば過去の出来事としてひとくくりに捉えられがちなそれらの作品を、今一度再評価する場にしたいと思います。

そこには暴力と非合理性があるかもしれません。 しかしそのフィルムに焼きついている「新しさ」を求めて、映画を上映します。

もちろん映画祭として、何よりも幅広い世代の方々に楽しんで頂きたく思います。

作られた年代の異なる作品群、トークショー登壇者、主催の私たち学生と、そしてそれを見てくださる方々。いくつもの年代が交錯する映画祭を、ぜひその目でご覧下さい。

(日本大学芸術学部・映画学科3年・青山リサ・あおやまりさ)

「映画祭1968」

期間:2012年1月28日(土)〜2月3日(金)

場所:オーディトリウム渋谷

主催:日本大学芸術学部映画学科理論・評論コース三年/オーディトリウム渋谷

「映画祭1968」公式HPはこちら

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

タグ:映画 / 上野千鶴子 / 青山リサ