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弁護士に頼む前の準備 【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-8

2012.04.18 Wed

【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-8 弁護士に頼む前の準備

8 弁護士に相談に行くときにどんな準備をしたらいいでしょう。

有料の法律相談であれ,無料の法律相談であれ,出来れば限られた時間を有効に使いたいですね。スムーズに相談を進めてもらうには,ある程度事前に準備をしておくと良いでしょう。

◎ 年表や自分の考えをまとめてみる

 まずは,時系列で,婚姻時から現在に至るまでの出来事の概略を,まとめてみましょう。いわば夫婦の年表です。婚姻前,交際時からの出来事でも,書きとめておきたいことがあれば,書いておきます。主だった出来事としては,結婚,結婚式,同居,別居,転居,転職,失職,不動産などの購入,子どもの出産,進学,暴力,不貞の発覚などが考えられるでしょう。

 たとえばこんなふうに。

 離婚したいのであれば,なぜ離婚したいか,その理由もまとめておくと良いでしょう。文章にするのが苦手ならごく簡単に箇条書きでもとりあえず良いのです。長い文章だとポイントがわからなくなることもありますので,簡潔なほうがむしろ良いくらいです。さらに,離婚するにあたって,要求したいこと(親権,養育費,慰謝料,財産分与)も箇条書きでまとめておきましょう。具体的な説明は,法律相談の際に,口頭でしていけばいいのです。
 離婚請求されているけれども,離婚したくない,あるいは,条件によっては離婚しても良い,というときも,同様に理由や条件をまとめておきましょう。

 書いておかないと,つい言い忘れたりするものです。まずは書きとめておきましょう。それに書くという作業自体が,自分が離婚したい(したくない)理由を整理できるきっかけともなります。
 相談の際に,1部は自分の手元に残し,1部は弁護士に渡すと,お互い確認しながら話が出来ますので,2部ずつ用意すると良いでしょう。

 持っていくと良いもの

 離婚できるかどうか(あるいは先方の離婚請求を拒否できるかどうか)は,民法で定められている離婚原因(不貞,悪意の遺棄,暴力などの婚姻を継続し難い重大な事由など。民法770条1項)があるかどうかです。

不貞に関する資料(興信所の調査結果,メール等),暴力に関する資料(写真や診断書等),その他離婚原因の証拠となるものを既に用意できていればあれば,持参して,弁護士に,証拠として十分かどうか,確認してもらいましょう。

夫婦,親子であることを示す戸籍謄本も持参しましょう。可能であれば,簡単に家族関係図も作っておきましょう。

婚姻中に夫婦で築いた財産があれば,財産を夫名義,妻名義に分け,不動産,車,預金,有価証券,生命保険・学資保険などの種別にリストアップした財産リストを作成しておくとよいでしょう。不動産の登記簿謄本等その裏付けとなる資料も用意出来るとよいですが,かさばって重くなるようでしたら,まずは財産リストだけでも示します。

養育費の参考資料として,自分や他方の収入証明(課税証明書,源泉徴収票,確定申告の写しなど)も用意しておくと良いでしょう。
すぐに着手してほしい,すぐに委任したい,ということであれば,契約書や委任状作成のために印鑑(認印でOKです)も持参しましょう。

◎ どうぞ気負わずに

 いろいろ書きましたが,法律相談の際に具体的な説明を補足できますし,足りなければ弁護士からこれとこれを準備してほしいと言われます。どうぞ気負わずに,法律相談にいってくださいね。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 弁護士 / フェミニズム,家族,離婚, 打越さく良,エッセイ,離婚ガイド,親権