2012.11.18 Sun
【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-6(15) 裁判所からの突然の呼び出し
家庭裁判所から突然呼び出しを受けました。夫が調停を申し立てたから裁判所へ来るようにとのこと。夫とはろくに話もしていないのにいきなり裁判所なんて驚いていますし,納得できません。行かなければいけないものでしょうか。
◎ 話し合いの場,有効活用を
裁判所なんて弁護士でもなければ縁遠い場所ですよね。いきなり呼び出し状を受け取ってびっくりするお気持ち,もっともです。でも,ろくに話もできなくて困っていたのでは?第三者(調停委員会)に入ってもらって,夫(妻)との話し合いを進める調停は,あなたにとっても,夫(妻)との問題解決を図る上でメリットがあるでしょう。
なお,どちらが申立人で,どちらが相手方かによって,有利不利はありません。調停委員会は中立的に当事者双方の話し合いを促しますので,安心してください。
◎ 過料の制裁の可能性も
呼び出しを受けた場合,期日に出頭しなければならないとされ,正当な理由なく出頭しないときは,家庭裁判所から5万円以下の過料に処せられることになっています(家事事件手続法258条1項・同法51条2項3項)。しかし,実際には出頭しなくても,過料に処せられるケースを聴いたことはありません。
それでも,やはり,調停は,双方の考えを交わしあって,譲歩しあい,柔軟な解決を図る良い機会です。出席することをお勧めします。
◎ 欠席した場合
相手方としてまるで無視して欠席した場合でも,離婚調停の場合,調停での解決は無理として不成立になったり,申立人が取り下げたりして,調停前置主義(家事事件手続法257条)を果たしたことになり,訴訟を提起されてしまいかねません。訴訟の被告としても無視を決め込み欠席していても,原告側が提出した証拠に基づいて判決が出てしまうことになります。
養育費や婚姻費用の調停の場合は,相手方が欠席しても,審判に移行し(家事事件手続法272条4項),申立人が双方の年収を示す資料などを提出できれば,審判が出されてしまいます。
どちらにせよ,相手方としても,調停に出席して,自分の言い分を十分伝えたほうが良いでしょう。
◎ 申立書の送付
従前の家事審判法は,家事調停の申立書を相手方に送付するかどうかは,明文の規定がなく,双方代理人がついた場合に求めに応じて代理人間で書面が交換される以外は,ほとんど申立書などの書面を送付する扱いにはなっていませんでした。
しかし,相手方としては,一体何を申し立てられたのかもわからないまま,裁判所に出席し,その場ではじめて申立人が離婚を望んでいるとか,円満調整を望んでいるといったことがわかるという事態で,事前に自分でも考えをまとめていくなどの準備に支障がありました。
2013年1月から施工の家事事件手続法は,調停手続の充実および早期解決の観点から,申立書の扱いを相手方に送付する扱いを原則としました(家事事件手続法256条1項)。しかし,申立書に相手方に対する誹謗中傷がたくさん記載されていたりすれば,相手方としても不愉快で,かえって冷静に話し合いに臨むことができないでしょう。そこで,「家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがある」ときは,例外的に申立書は送付されず,申立てがあった旨の通知で足りることになっています(同項但し書)。
今までの運用と大分異なる扱いになることから,東京家庭裁判所などいくつかの裁判所では,施行前から,申立書を相手方に送付する運用を試行的に開始しているようです。
東京家庭裁判所は、書式をホームページにアップしています。この書式でなくても受け付けられますが、裁判所が知りたい事項が整理されており、参考になさってください。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html
カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド
タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 弁護士 / フェミニズム,家族,離婚, 打越さく良,エッセイ,離婚ガイド,親権
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