2013.06.18 Tue
【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-13(22) 22
裁判官の役割は?
離婚調停を申し立てました。
期日にはほとんど調停委員2人が対応し、裁判官は時々入るだけです。裁判官はどんな役割をしているのですか。
◎ 調停委員会の一員
調停委員会は、裁判官1人と調停委員2人以上で構成されます(家事事件手続法248条1項)。裁判官が1人で行う調停(単独調停)もありますが、調停委員会による調停のほうが原則的です。
調停委員についてはこの連載の12回目で説明したので、そちらを参考にしてください。
家事調停の申立てがされると、まず、担当する裁判官が決められます。事件を担当する裁判官は、事件の内容を検討し、事件に適切な調停委員2名(通常男女各1名)を指定します。
◎ 同席していなくても
第12回でも書いた通り、裁判官は同時に何件も調停事件を担当しているので、一つ一つの事件に始終同席していることはできません。でも、事前に調停委員と,事件の進行や処理等について意見交換して,どのように進行するかについて,話し合っておきます(事前評議)。事前にだけではなく、調停の途中(中間評議)や、当日の調停が終わった後(事後評議)にも、意見交換や話し合いを行っていきます。
裁判官が直接調停後に調停委員らと話し合わなくても、調停委員が当日の双方の意見や事情聴取した内容を調停経過メモに記載したものを読んで進行等について意見等を記載する、ということもあります。
裁判官が始終立ち会っていなくても、裁判官も含まれる調停委員会が評議の上意思統一して調停を進行させていくことになっています。
たとえば、裁判官の立会なく、調停委員から調停案を示された場合でも、裁判官を含めた調停委員会で評議し検討した結果に基づいているものと理解してください。調停案を示す等の重要な場面では、裁判官も同席して、趣旨を説明することが多いです。
◎ 調停成立・不成立
合意ができて調停が成立する場合、あるいは、合意の見込みがなく調停不成立となる場合、裁判官も同席して(2人の調停委員の真ん中に座ります)、合意内容(調停条項)を読み上げ(調停成立の場合)、あるいは、不成立となると言います。
◎ 非常勤裁判官
調停の裁判官は、いわゆる非常勤裁判官の場合もあります。2004年1月から導入されている家事調停官といって、5年以上の経験のある弁護士の中から最高裁判所から任命されます(家事事件手続法250条1項)。
きっと当事者にとって、担当裁判官が職業裁判官なのか家事調停官なのか、にわかにはわからないでしょうが、調停については、職業裁判官とほぼ同じ権限がありますので(合意に相当する審判に対する異議の申立てなど家事調停手続における裁判に対する不服申立ての手続や調停した事項の履行状況の調査など家事調停事件が終了した後に予定されている手続については家事調停官の権限に含まれない)、確認する必要はないでしょう。調停官ですから、養育費等の調停が不成立となり審判に移行する場合、その審判の担当はしません。
◎ 立会調停が相当か判断
前回ご紹介した立会調停(裁判所によって若干名称が違うようです。調停期日のはじめと終わりに,双方当事者本人が調停室に立ち会った上で,裁判所から,手続の説明,進行予定や次回までの課題の確認等,あるいは,成立不成立等により事件が終了する際の意思確認を行うというもの)をするかどうかは、東京家庭裁判所では(おそらく他の裁判所でも)、裁判官が事前に判断します。
もっとも、裁判官が事前に立会調停ができると判断していても、当日の当事者の様子や意向で、立会調停が実施されない場合もあるでしょう。DVを受けていて同席すること自体に恐怖を感じるような場合で申立て時にその旨の事情を知らせていなくて、裁判官が事前に立会調停が不相当とわからなかった場合、立会調停を勧められても、遠慮することはありません。事情を話して、立会調停はできないことを伝えましょう。
カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド
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