エッセイ

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調停後はどうなる?【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-14(23) 23

2013.07.18 Thu

【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-14(23) 23 

調停後はどうなる?

離婚調停を先方が取り下げました。

このあとどうしたらいいのですか。不成立になった場合は?

 

◎いつでも取下げが可能

申立人は、調停事件が終了するまで、いつでも申立てを取り下げることができます(家事事件手続法273条1項)。

調停は、当事者間の自主的な話し合いによる紛争の円満な解決を目指すもの。となると、手続を続行することについても、申立人の意思を尊重すべきということで、取下げについて制限がないのです。

なお、取下げは書面でしなければなりませんが、調停期日において取り下げる場合には書面は不要です(家事事件手続法273条2項が民事訴訟法261条3項、262条1項を準用)。調停の席上で「取り下げます」といえばその旨調停委員が書き留めてくれるでしょう。

期日間に申立人が取り下げてしまった場合、相手方等に裁判所から取下げの連絡があります(家事事件手続規則132条3項・1項)。 ところで、いったん取り下げてもまた調停を申し立てることも一応可能です。が、いったん取り下げたのに短期間で再度調停の申立てをした場合、「不当な目的でみだりに調停の申立をした」として調停をしてもらえないことがあります(「調停拒否」「なさず」といわれます)。

ではどれくらい経ったら短期間ともいわれないのか、というのも不明瞭です(個人的には1年くらい待ったらいいのではないかと思いますが)。取り下げるにも、あわてず十分考えてから、が大切です。

◎相手方から調停申立ても訴訟提起も可能

ええ~!?まだ話し合いをしたかったのに、取り下げられてしまうなんて…。あなたが調停による解決を望むなら、調停を申し立てることが出来ます。

とはいえ、先方は申立てを取り下げた以上、もう調停による解決を望んでいないということでしょうから、現実的には、調停で解決するのは難しいかもしれません。  調停でかなり話合いをしてきたのであれば、取下げでも、調停を前置したことになり、訴訟を提起することが出来ます。

なお、離婚訴訟の前に家庭裁判所に調停を申し立てておかなければならない調停前置主義(家事事件手続法257条1項)については、連載の2回目にも取り上げています。調停のときは申立人でなく相手方だったあなたからも訴訟を提起することが出来ます。訴訟提起にあたっては、調停を経たことを証明するために、家裁の担当書記官から事件終了証明書をもらう必要があります(150円の印紙が必要です)。

あるいは、調停で十分な話合いをしていないのに、先方が取り下げていきなり訴訟を提起した場合、調停前置主義を満たしていないとして、裁判所に調停に付するよう求める(付調停)ということが考えられます(家事事件手続法257条2項、274条1項)。でも、私は、調停取下げを経た訴訟提起後に付調停となった経験はなく、訴訟のまま、和解のための話し合いが重ねられることばかりです。

◎調停不成立の場合

調停不成立の場合、もちろん調停を前置したとして、訴訟提起が可能です。

不成立調書か事件終了証明書を提出します。訴訟提起時にあわててないように、不成立の際には不成立調書か事件終了証明書をもらうことが大事です。最後の調停のときに書記官に聞かれますから、申請しておきましょう。

◎調停後何年も経っていても訴訟提起できる?

調停の取下げまたは不成立から10年経ってから、訴訟提起するのでも、調停前置主義を満たしていることになるのか…?何年も経過していても調停前置といえるのか、明文の条文はありませんが、ずいぶん前の調停では、現時点で離婚について話合いを尽くしたとはいえず、落着きが悪いように思います。

家庭裁判所も、訴訟提起されても、調停に付することとなるでしょう。 では、調停取下げまたは不成立から何年後まで訴訟提起OKか?規定がないので、何ともいえませんが、私の場合1年以上経っていて訴訟提起というのには躊躇があり、調停を申し立てることをお勧めしています。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / フェミニズム / 女性学 / 弁護士 / 家族,離婚, 打越さく良,離婚ガイド