2014.02.18 Tue
審判の効果 審判の内容に不服だったらどうした らいいですか。
審判でも強制執行することができますか。
◎審判の効力はいつ発生するか
審判(申立てを却下する審判を除きます)は、特別の定めがある場合を除いて、審判を受ける人に告知することによって効力が生じます(家事事件手続法74条2項)。離婚関連ではありませんが、遺産分割など審判を受ける人が複数のときは、そのうちの1人に告知することによって効力が生じます。
ただし、不服の申立て(即時抗告といいます)ができる審判は、確定しなければ効力が生じません(同項ただし書)。即時抗告の期間の満了によって確定しますが(同条4項)、期間内に即時抗告の申立てがあれば、確定しません(同条5項)。即時抗告できる期間は、原則として、2週間です(法86条1項)。双方が即時抗告しないで2週間を経過すると、確定します。
◎そもそも審判って
審判にあたっては、審判書が作成されます(家事事件手続法76条1項)。審判書には、主文のほか、理由の要点(理由の要旨)も記載されます(同条2項)。審判は迅速に決定することが必要な性質があることが多いので、理由は要点だけ記載されればいいことになっているのです。審判書の主文だけではなく、理由の要旨をよく読んで、即時抗告するかどうかを検討しましょう。
◎不服申立て(即時抗告)するかどうか
即時抗告期間の2週間がいつ始まるかというと、即時抗告をする人が、審判の告知を受けた日からです(家事事件手続法86条2項)。いかに抗告状に説得力ある抗告申立ての理由を書いたところで、期間を経過してしまっては、アウト。迅速に申し立てなければなりません。抗告状は、原裁判所(不服があるもともとの審判を出した裁判所)に提出します。高等裁判所ではないです。 しかし、注意すべきことがあります。
家事審判については、不服申し立ての限度においてのみ取消し及び変更ができるという、いわゆる不利益変更禁止の原則(民事訴訟法304条)はありません。 民事訴訟では、どのような限度で裁判をするかを当事者に委ねています(処分権主義といいます。民事訴訟法246条)。そのため、裁判所は、当事者が申し立てたことがらに限定して、判断します。
不利益変更禁止の原則も、この処分権主義を根拠にしています。 しかし、子どもなど関係者に長期的に影響を与えかねない家事事件については、裁判所の判断が、当事者が申し立てた限度に限られるのは、適当ではないことがあります。むしろ裁判所が積極的に「こうあるべし」という判断をしていくべきときも多いのです(公益的、後見的に判断すべし、といわれます)。
そこで、家事審判については、処分権主義が妥当せず、不利益変更の禁止の原則の規定も設けられていません。 そのため、たとえば婚姻費用が低すぎる(あるいは高すぎる)、もっと高くすべき(あるいは低くすべき)と思って、即時抗告をしたら、かえって、低く(あるいは高く)なってしまうなんてこともありえます。よく見通しを検討しましょう。
◎審判にはどんな効力があるか
金銭の支払い、物の引渡し、登記義務の履行等を命じる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有します(家事事件手続法75条)。執行力のある債務名義とは、債権の存在を公的に証明する文書で、強制執行するにはこの債務名義があることが前提となります。 審判が確定したのに、婚姻費用や養育費を払ってもらえない。そんなときには審判をもとに、債務者の給与等を差押えすることができます。
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