エッセイ

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裁判で離婚が認められるには(6)【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-18 (43)

2015.03.18 Wed

43 裁判で離婚を認められる場合はどんなときですか(6)― その他婚姻を継続し難い重大な事由

  38回からスタートした民法770条1項の離婚原因、今回は第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を取り上げます。

今まで取り上げてきた具体的離婚原因がなくても、「その他」の理由で離婚が認められる可能性があるというもの。「不貞」「悪意の遺棄」とは違い、婚姻関係が破たんしたことにつき相手方に責任がある場合(有責)に限定していません。離婚を認める考え方が、有責主義(離婚原因につき相手の何らかの有責行為(過失など)を要件とする)から、破綻主義(離婚原因につき相手の有責・無責を問題にせず婚姻関係が破たんしていれば離婚を認める)に転化していることを示す条文ともいわれています。ただし、一般的には、被告が暴力をふるうなど有責で、その程度がひどければひどいほど、離婚は認められやすい傾向にあります。

◎「婚姻を継続し難い重大な事由」とは?

民法の本(注釈民法という法律家が必ず参照する本)には、「婚姻関係が深刻に破綻し、婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがない場合」とあります。この説明ではまだむずかしいかもしれません。もう少し具体的に説明します。夫婦はときにはお互いむっとしたりすることもある。イヤなところばかりが目につき、もうこの人とやっていけないと思うこともあるかもしれない。でも一方的にそう思っても、それで離婚理由がある、ということにはならず、子どもがいるとか、他方が病気だとかいろいろな事情が考慮されて、修復の見込みがあるとして離婚原因が認められないこともある、ということです。

なお、一方がどうしても離婚したいと思っているなら、それだけで離婚が認められるべきだ、という学説も有力です。一方が離婚したいと言っているのに他方が応じないのは、離婚の「大義名分」を争っているか、離婚の諸条件についての「駆け引き」のためであり、法律論として扱う話ではないだろう、という理由からです。皆さんはどう思いますか。以前は、「そんな身勝手な…」と思う人が多かったかもしれませんが、最近は「一方が離婚したいなら仕方ない」という感覚の人も増えているのではないでしょうか。「常識的感覚」も時代の経過とともに変わるもの。経験則と社会通念に従って判断する裁判所にもその変化は影響し、実務の傾向も変わっていくかもしれません。

現状では、「離婚したい」という当事者の意思も含めて、客観的に婚姻関係の破綻の有無は判断されるべきとされています。客観的というのは、離婚を請求している人の立場に置かれたら、誰しも離婚を求めるに違いないと思われる場合という意味です。

 

◎どんな事情が考慮される?

では、婚姻破綻の有無について、当事者の意思のほかにどんな事情も考慮されるでしょうか。裁判例からすると、個別の事案について裁判官は様々な事情を総合的に考慮しているようです。

しかし、一般的に裁判官が重視すると思われる事情を以下にあげます。

まず、40で説明した、相当長期間別居していることです(40を参考にしてください)。

さらに、DVが認められる場合には、認められやすいです。加えて、働きもせず遊びほうけている、賭け事をする、犯罪をした、などが重なれば、さらに認定されやすいです。

「不貞がある」等人に知られたくないようなことを相手の知人にわざわざ手紙を書いたり、相手に嫌がらせや脅しのように訴え提起や告発・告訴をしたり、といったことも考慮されます。

配偶者の親族との不和自体で破綻が認められるものではありませんが、相手自身が不和解消のために努力しなかったとか、かえって親族に加担して配偶者に辛くあたったということになると、破たんと認められることもあります。

性格の不一致はそれ自体では離婚原因にはなりにくいとはいえ、性格の不一致から様々なトラブルが積もり積もってもはや破綻していると認められることもありえます。調停や訴訟になった場合、性格の不一致だけを強調すると、人格攻撃のようになりがちで、むやみに相手を刺激しかねず、消耗してしまいそうです。性格を強調するよりも、そのために生じた様々なトラブル自体を指摘する方が良いでしょう。

正当な理由なくセックスを拒否するとか、異常、あるいは過度のセックスを強要するといった事情がある場合も、婚姻関係が破綻していると認められやすいです。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / フェミニズム / 家族 / 女性学 / 離婚 / 弁護士 / 打越さく良 / 離婚ガイド / 裁判離婚