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アイスランド便り 河野貴代美
2015.08.27 Thu
7月末からの3週間余アイスランドに行ってきました。WANにアイスランド紀行文を寄せようと思ったのは、アイスランドが思った以上にフェミニズムの国であったからです。で、ここではガイドブック的な要素は除いて、フェミニズムぶりに焦点を当てたいと思います。
私のアイスランド旅は、ヘルシンキ乗り換え、3時間半で ケフラヴィーク空港に到着。この国は北欧とグリーンランドの間にある、北海道より大きい程度の国土に32万人の人口。空港から首都レイキャヴィック市まで1時間を要します。なぜ遠いところに空港を作ったのと聞いたら、フラットな土地はそうそうないそうです。
アイスランドは実態領土より広々と見える美しい国です。レイキャヴィック市(左写真)も第2の都市アークレリもとても美しい。上品で静か、自己主張的でないところがいいですねえ。
盛夏というのに、ダウンジャケットでもふるえているくらい寒い(ナントカ暖流で、思ったほどは寒くないという情報は真冬のこと?)のに、溶岩石(花崗岩?)には生えたコケや草の下、羊たちが放牧されていて、植林された木々(森林はない)は青空に映え、盛夏に必死に咲いている野花がいじらしかったです。
到着後数日して島内一周の1週間バス旅に出ました。この30人足らずがまさに国際色豊かなグループで、ウクライナの若いカップルや10歳で台湾を出、米国で勉強し現在は東海岸で産婦人科医と、アルツハイマーの研究をしている40代後半の黄さん才媛姉妹と仲良くなりました。
道中北部でのクジラ見学は、雨も降って寒いのなんのって、おまけにクジラは写真で見るように尾びれがピット張ったような姿ではお出ましにならず、ヨーロッパ最大の氷河が作っている湖(ラグーン)をボートでまわりました。氷塊の造詣の妙。
バス内や食事中にお仲間でのお国自慢にも花が咲き、ウクライナのセルゲイ君、ロシアなんかに絶対占領されないって。そうかそうか、いいぞ。
そんなに高くない(と見える)山々にはどこにも雪渓が残り、はるかな草原の緑に目が癒されます。舗装の進んだ主要道路をバスはすっ飛ばします。
なかでもハイライトは、ヨーコ・オノが無人の(伝統のある)ヴィジェイ島に建てたimagine peace towerに行ったことです。島は市のハーバーから見えますが、小さなフェリーで30分ほどはかかります。タワーといっても塔ではなく人の2倍近い高さの、現地産タイル様のものが使われて、直径数メートルで丸く貼られています。
一枚一枚に、Imagineの最初のフレーズ、「平和に世界中の人々が暮らしていることを想像してごらん」という歌詞が世界各国語で書かれています。
ジョンの生誕10/7~死の12/8まで、この周りに人の鎖を作り、中から真っ青の光がシュッーと空に立ち上るそうです。行ったら職人が10月にむけてライトの点検をしていました。オノさんがどうしてこの島に建てたのかは、知りませんが、たぶん地熱発電が気に入ったのではないか、と想像します。
ジョンの死を悼み、オノさんとの関係に思いを馳せ、まだまだ人々の殺し合いが止まない現実に、ひざまずいて平和を祈っていたら、目が潤みました。なんと無垢の人々が理由もなく殺されていった(いる)ことでしょう。歴史は残酷です。
2番目の発見はすぐ近くの市立図書館。開放的で明るくカラフルで椅子がどこにでもあり広々としています。入ったらすぐにアートの展示が目につき、思わず「入場料がいる?」と尋ねてしまい「ここ市立の図書館ですよ」「もちろん知って来たのですが」
5階には、インタネットにつなげられる設備の机椅子があり、全部ガラス張りで市内を見下ろしながら、ソファや安楽椅子のあるコーナーが私のお気に入りの場所。座り込んでは、英訳されているSagaを読んだり、1800年代のレイキャヴィックを描いた画集をみたり、時にはうつらうつらとしたり。時間があれば入りびたりでした。
加えて地熱の温水プールがシニア無料ということで、泳ぎ、暖かいジャグジーでのんびり、、、。アレ、私レイキャヴィック市民になったのかしら、気分でした。
市内の高台にありどこからでも見える有名な教会も3か月ずっとサマーコンサートをしており、有料無料を問わずよく出入りしました。すばらしいパイプオルガンがあります。到着の翌日、足を踏み入れたらたまたまパイプオルガンのnoon concertに出くわしました。パイプオルガンといえば日本ではすぐバッハですが、もっと現代の作曲家の曲もコーラスもよかったです。なんとラッキー。最終日にはヘンデルのオラトリオ、ソロモン王の3actsがあって(料金高かった)、ソロモン王、ユダヤ、旧約聖書の話がありました。オラトリオは3actsを聞き終わるには3時間半かかります。


もう一つお知らせしたいのは、アイスランドの先進性。島めぐりで市内への帰路、ガイドが今日はゲイパレードがあるから、バスが混んでホテル到着が遅れるかも、と言っており、パレードに出会えないかなと思っていたがそれは終了して、あとで発見がありました。
繁華街の一街路の道路が6色できれいに色づけされ(レインボウ)、路肩には、パレードの大きな写真がたくさん展示されていました。1999年にゲイプライドパレードが始まり、だんだん盛大になって、6/17を国民の祝日にしたそうです。
なにしろ観光客に満ち溢れたところ、SFのアッシュベリーStにいったら、ちょっとフインキが違ってくるというようなことはなかったですが。ガイドさんはスラリとゲイパレードを口にしていました。GLBTのグループがあるということで、いろいろ尋ねまわりましたが、なかなかグループに行きつけず断念。結構いい加減な国民性もあって。





もう一つは国立博物館にある女性コーナー。もともとフェミニズムの国とは知っていましたが、それにしても。
コーナーに入ったらすぐに女性たちが半身裸で、おっぱいを見せまくっている写真。これは2015年3月に国会議事堂の前で取ったとか。「乳首の解放!」その反対側に長い服装の女性たちがこれも国会議事堂に集まって、平等を訴えているセピア色の写真。
話をしてくれた係員(たぶん十分にフェミニスト?)はアイスランドが、100年以上も、いまだに男女同権を戦っており、セクハラも性暴力もいまだ止まず。とか。
選挙で選ばれた世界初の女性大統領を生んだ国。元大統領、V・フィンボガルドウティルボさんはいま88歳でまだまだお元気で、博物館のスタッフの一人と親友で、よくコーヒーを飲みに来るとか、うれしそうに話していました。
というわけでアイスランドの訪問は超おすすめです。
とにかく人々はいいかげんだけれど(だいたい何でも10分は遅れるし、断固として間違いを教えます)親切。たとえば到着初日、郊外の博物館に行きました。帰りはスタッフが、遠回りしてきたようだから、別のバス停の別ルートで行くことを助言してくれました。行ったらバス停はあったが、ルートが違いどちらの側に乗るのが正しいのか不明。仕方なく少々歩いて行きあたったゴルフ店の店主に聞きました。彼は目前でPCを開いて調べてくれ、すぐに市内行が来るけれど、歩いて行っては間に合わないと自分の車でバス停まで運んでくれました。こんなことを書いていたらきりがありません。
とにかく聞かないとわかりませんのでいちいち聞きまくります。まず90%英語が通じ、外国人も英語。バックパッカーを避けて聞いても、通りかかったおばさん、私夕べ着いたばかり、あなたより知らないわよと言われ、笑い合ったことです。
ただし物価の高いのにはおどろきです。私の安宿(料金は信じられないぐらい高い)があまりにあまりなので変えようかと思ったのですが、キッチンがあって、滞在者は、近くのスーパーで買い物をし、まあ盛大に料理をしています。物価が高いせいでしょう。
グリーンランドから来たと言う人が、キッチンを占拠して10人とやらの料理を作っています。感心してみていたら、私にもスープをおすそわけしてくれました。ラムをキャベツやニンジン、じゃがいもと煮込んだとてもおいしいスープでした。私などは、ベーグルを買って、ハムやサーモン、クリームチーズでロックスを作るのがせいぜい。この台所交流に惹かれてとうとう居つきました。このようなゲストハウスはどこにでもあります。
この物価の高さについてちょっと聞くと、人々は2つの仕事を持っているとか。
皆さん、冬支度で盛夏(7月のほうが暖かい)のアイスランドを訪ねましょう。(アイスランド大使館から粗品がこないかなあ)
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