2013.06.28 Fri
2013年5月19日、文京区民センターにて開催された「女性手帳に反対する緊急ミー
2013年5月19日、文京区民センターにて「女性手帳に反対する緊急ミーティング」が開催されました。主催は女性手帳に反対する準備会(仮)。呼びかけ人はSOSHIREN女(わたし)のからだから。50名ほど集まった参加者の年代はさまざまで、SNSを見て参加した若い世代も多かったようです。Voices-Wanからは4人のメンバーが参加しました。
第一部 トークセッション
第一部はトーク。唐川恵美子さんより、女性手帳の配布が提案された経緯と手帳の問題点についての解説がありました。女性手帳が、少子化の原因を精神論、なかでも女性の意識の問題に短絡させ、家族規範と異性愛規範にあてはまらない個人を制度から排除する差別的なものであること、また、「胎児・妊産婦に対するリスク」の語りの背後には優生思想が垣間見えることなどが指摘されました。 続いて大橋由香子さんは、戦前からの人口政策をふりかえり、政府がそのときどきで結婚年齢や出産年齢の引き下げを政策的に行おうとしてきたこと、政策のトーンは戦争を挟んでもほとんど変わっていないことなどを明らかにしていきました。そして、政府の少子化対策としての女性手帳によって、リプロダクティブフリーダム/ライツ(性と生殖に関する自由/権利)が侵害されることへの危機感が語られました。
第二部 フロアディスカッション
第二部は会場全体でのフリーディスカッション。多様な背景をもつ参加者が、それぞれ自分の立場から見える女性手帳の問題点を語り、少子化対策が「女性の問題」と設定され、女性に特定の生き方が押し付けられることへの怒りを共有する濃い時間となりました。
経済的な状況や仕事との両立困難、保育所の不足等で「産みたくても産めない」という訴えもあれば、「産みたくない」気持ちや「産まない」選択が尊重されず、女性身体をもつ人間が「産む予定の人間」とみなされてしまうことの暴力性の指摘もなされました。また、女性の身体について女性だけに情報提供することが、女性に自分の体への「恥」感を植え付ける、妊娠出産や子育ての過程から男性が疎外されることにもつながる、などの意見もあげられました。
ディスカッションの後には、集会決議案についての意見交換が行われ、参加者から出たさまざまな案を取り入れた「女性手帳に反対する声明文」が完成しました。以下、SOSHIRENのサイト(http://www.soshiren.org/)より引用します。
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私たちは、内閣府開催の「少子化危機突破タスクフォース」が提案する「生命と女性の手帳」の作成・配布に反対します。
女性手帳があっても産めません。
働き続けられる環境がなければ産めません。
妊娠・出産は女性だけの問題ではなく、少子化は女性の意識のせいではありません。
政府の人口政策で、性/生を管理されたくありません。
標準的家族像を押しけること、女とされるひと=産むと決めつけることに反対です。
女性手帳は、性的マイノリティを生きづらくさせ、排除・抑圧します。
産んでも産まなくても、(一人ひとりが)生きやすい社会が必要です。
産む・産まないは、一人ひとりが決めます。
2013年5月19日 女性手帳に反対する緊急ミーティング
***
「女性手帳」の配布は当面見送りとされましたが、その問題性に対する真摯な反省がなされたわけではありません。女性の身体を、生き方をコントロールしようとする政策を生み出している価値観は、いまだこの社会に根を張っています。
産む産まないにかかわらず誰もが生きやすい社会の実現。それを求める声をあげつづけていくこと。「女性手帳に反対する緊急ミーティング」は、その重要性を改めて実感する機会となりました。
・ 取材したv-wanメンバーの感想
女性手帳のことをはじめて知ったとき、私の頭に浮かんだのは、10 代の自分が大人たちに詰め寄られるシーンでした。「若いうちが産み時なのよ~!」なんて、表面上はにこやかだけれど、透けて見えるのは、「産んでくれないと、しかも「元気な子」を産んでくれな いと、こっちにとって都合が悪いんだよね!」という、吐き捨てるような本音。私は寒気と同時に、強い憤りを覚えました。
昨年出産を経験している私ですが、「産もうかな」と思うようになるまでには、たくさんの逡巡がありました。いまだにうまく言葉にできない、けれども私にとって大切なその逡巡を、「女の知識不足」「女の意識の問題」として否定されるなんて、許せない。私にとっての「子どもを持つ幸せ」はたしかにあるけど、「子どもをもつことこそが女の幸せ」には断固 NO を言いたい。産まない選択や産みたくない気持ちが尊重されない社会は、嫌だ。そんな思いから、ミーティングへの参加を決めました。
ミーティングに参加して感じたのは、怒りを表明し、他の人びとと共有することの重要性です。多様な立場の参加者がそれぞれ、自分自身の怒りを、自分自身の言葉でいきいきと語っていたのが印象的でした。私の怒りと彼女の怒りは同じものではないけれど、それぞれに尊重すべき怒りだということ。そして、それらの色とりどりの怒りは、矛盾するものではなく、女性の性のあり方/生き方への介入に対する怒りという点で、同じ根をもつものであること。 実際にひとつの場に集まり、参加した方々の顔を見て、声を聞いて、それらを実感できたことが、私にとっての大きな収穫でした。(飯田さと子)
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「女性手帳に反対する緊急ミーティング」に参加しました。「ミーティング」と言ってもどのように話し合うものなのか、なにもイメージがないまま会場へ。結果としてわたしが一番感動したのは、この「ミーティング」ということばどおりの集会であったということでした。半円に並べた座席から参加者が思い思いの発言をします。
働く独身女性としての声、セクシュアル・マイノリティとしての声、学校の先生としての声、もう子育てを終えているが、女性をめぐる状況は、現在も昔とあまり変わらないのか、と首をかしげる声。 それぞれが胸の奥底から率直な思いを発言する場でした。そして当初主催者がご用意くださった集会決議案をもとに、会場に集まっ た人たちの意見を取り入れた決議案作り。まさかの「全部盛り込もう」という姿勢に脱帽。こことこれは重なるね、これはこの言い方で伝わるよね、と、出てきたすべての意見を含みこんだ形を 目指して議論が重ねられ、集会決議が完成しました。
「本当にミーティングだったんだ…」と、主催者と参加者、講演者と聴衆のような縦の関係ではなく、水平の関係の中から皆の思いを伝える言葉を拾い上げ練り上げた決議案はシンプルかつ、強い思いを運ぶものになりました。(小林あんぬ)
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初めてこういう会に参加しましたが、人の意見を聞いて「あっ!」と気付く事が多く、たくさんの意見と思いを聞いて、圧倒され感心したミーティングでした。
私が一番心に刺さった意見は「もうね、私が思春期にこんな手 帳もらったら」という意見でした。ぐさり。 そっか、これって妊娠出産が可能な 20 代、30 代だけをターゲッ トにした話じゃないんだ!と初めて思い至りました。
30 代の女性である私は、一番鋭い刃を突きつけられているのは 私達だと勝手に思い込んでいたのです。けどこれって女性全体に 突きつけられたものだったんですよね。
確かにもしこんな手帳を私の学生時代にもらったら。私はきっとそこに書いてあることが正しいと思い込んでしまうでしょう。結婚もせず子供も産まなかったら、ずっと引け目を感じて生きていくことになると思います。老いも若きも、ずっとそんなことを思いな がら生きていくのって辛いですよね。それを思うに至った今回のミーティング、とっても有意義で面白いものでした。
「どうしよう、もう時間がない、まとめなきゃ!」と言いながら声明文を考える主催者さん。それだけたくさんの発言があったからなんですが、それを一人の意見ももらさず声明文に入れ込んだ声明文です。熱いですよね。すごいですよね。詰まってますよね。(伊勢さち子)
カテゴリー:取材ニュース
タグ:取材 / 身体・生殖・健康、女性政策
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