2011.10.30 Sun
2009年ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表に選ばれるなど、写真や映像作品で国際的に活躍する美術家のやなぎみわが、今年の夏から展開している演劇プロジェクトの第二弾。明治と昭和の狭間で演劇や美術が花開いた大正末期、1924年を舞台にしている。日本現代演劇を展開させた「築地小劇場」が関東大震災後に誕生した様子を、劇中劇の形で表現する。
90年代半ばにエレベーターガールをモチーフとした写真作品で注目を集めたやなぎ。不自然な女性の役割を、きわめて耽美な表現方法を用いて可視化した批評性は、斬新で意表をつくものであった。その後もさまざまな形で問題提起をしてきたやなぎの「変わり続ける生身の人間を使った創作と表現への欲求」(神奈川芸術劇場インタビューより)が、演劇への挑戦へとつながった。
前作の主人公である美術家の村山知義、今回スポットを当てる演出家の土方与志など、大正末期はドイツを中心とするヨーロッパとの密接な芸術的交流もあり、それまでになかった画期的な芸術表現が日本で開花した時期であった。日本の現代芸術のルーツを探るには、実に重要な時代といえる。
いわゆる演劇人ではないやなぎが、どのような切り口でこの興味深い時代の動きをパフォーマンスとして表現するのか、期待のプロジェクトである。
詳細:http://www.kaat.jp/pf/kaisen.html
神奈川芸術劇場
2011 年11月3日(木)~6日(日)
(Mitsuna)
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