2011.06.30 Thu
『新編 日本のフェミニズム』(岩波書店)全12巻―完結を記念し、フェミニズムの世代間継承を目指す協働プロジェクト「拡がるブックトーク」が全国12女性センターで開催され、その第二弾が2011年6月13日(月)、静岡県立大学で行われました。
プログラムは2部構成で、13時から3時間たっぷりの内容でしたが、学生、教員をはじめとする大学関係者の他、一般市民にも公開され、席が足りなくなるほどの盛況でした。
第Ⅰ部は上野千鶴子さんによる「グローバリゼーションのなかの『日本のフェミニズム』」と題する講演から始まりました。次に神戸大学大学院国際文化学研究所准教授の青山薫さんの「『グローバリゼーションとジェンダー』をめぐって」と題する講演が続きました。
第Ⅱ部はパネルディスカッションが行われました。静岡県立大学男女共同参画推進センター長の中山慶子さんをコーディネーターに、青山薫さん、静岡大学副学長の舩橋恵子さん、静岡県立大学教授の犬塚協太さんの3人のパネリストを迎えて、「グローバリゼーションとジェンダー」をテーマに話し合われました。
■参加した学生の感想■
・今回のような大きなシンポジウムに参加するのは初めての経験だったので、とても勉強になりました。特に、青山薫先生のフェミニズムの歴史に関するお話が印象的でした。時間が短かったのが少し残念でしたが、これからの勉強をしていくうえでとても良い刺激になりました。 (女性 県立大4年)
・女性解放論者、女性学のパイオニアと聞いて、上野さんはもっとキツい雰囲気の「戦う人」というイメージがあったのですが、いざ顔を見て話を聞いてみると想像していた女性の嫌味な強さは無く、サバサバしていた。清々しい、素敵な女性で、肩書きとのギャップに驚いたのが、一番、今回印象に残っています。(女性 英和4年)
・率直に言って、時間が短かったのがとても残念です。ジェンダーや女性の運動についての知識はまだまだ乏しいですが、先生方の講演で、女性を取り巻く歴史や、ジェンダーの考え方とその重要性がよく理解できたと思います。またパネルディスカッションでは、目指すべき社会を実現するにはまだまだ課題が多く、一筋縄ではいかないことに気付きました。私たちができることから少しずつ変えていく必要があるのだと痛感しました。(女性 県立大3年)
・大学で、家族論とジェンダーを学んでいます。しかし国内に焦点をあてているので、「グローバリゼーションとジェンダー」というテーマは自分にとって新鮮でした。講演をすべて聴くことは叶わなかったのですが、ジェンダー差別の強そうな世代の一般の方々の参加が多くみられたのが印象的でした。(女性 県立大3年)
・今回のシンポジウムでは、青山薫先生の「女女格差」のお話が印象的で、とても興味深く感じました。「男女格差」とも関係する問題であり、「男女格差」よりも認識が足りない「女女格差」の問題を、より多くの人が認識して考えていくべきであると感じました。私自身も今後の生活で意識していきたいです。(女性 県立大3年)
・ディスカッション全体の感想としては、やはり時間が足りなかったように感じました。3人の先生方それぞれの発表もそうですし、そのあとの意見交換についてもです。授業の時間に合わせなければならなかったというのはありますが、もう少しお話を聞いてみたかったです。(女性 県立大4年)
・今回、シンポジウムでお話を聞かせていただいて、日本では女性が社会で子育てしながら仕事をすることは、まだ、難しいんだなと思いました。子育て支援を社会が整備しているといっても、仕事上、取り難かったり、夫婦どちらかが取るということも難しく、あっても意味をなさないために多くの女性が仕事を辞めてしまうのではないかと思います。システムを整備して、夫婦どちらも子育てに参加できる社会ができたらいい。(女性 県立大)
・運営の手伝いをしていたため、残念ながら話を聞くことができたのは少しの間だったが、女性の社会進出について様々な話を聞くことができ、勉強になった。学外から一般の方々が多く出席していて、女性の意識の高さを感じた。今回のことを生かしつつ、今後のゼミ活動を頑張っていきたい。(女性 県立大)
・講演会では女性のこれからのライフスタイルや社会進出について考えさせられました。自分が女だからということもあり、お話を聞きながら、自分の体験と重ね合わせていました。女性が男性を必要としなくても、女性だけでは生きていくのは難しい社会構造ができてしまっており、まだまだシングルマザーや子育て支援などに社会対応しきれていないように感じました。他国と比べても日本はその点において遅れており、経済大国である日本がこういったジェンダー問題に鈍感であることが、不思議でもあり、悲しい現実だと思いました。(女性 県立大)
・今回のシンポジウムでは受付の係を担当していたので、正直あまりお話が聞けなかったのが残念でした。現代では、多少ジェンダーというものが表に出てきましたが、それでも日本ではまだまだ女性に立場が男性に比べて弱いということがわかりました。特に出産を経験した女性が再び就職する割合のグラフを見て、驚きました。このシンポジウムでお話しされていた3人は皆さん様々な活動をなさっているようで、そういった活動により少しずつ社会が変わってきたのだということを感じました。こういったシンポジウムがまた開催されると良いと思います。(女性 県立大3年)
松下光恵(フォーラムしずおか)
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
タグ:女性運動 / 本 / 上野千鶴子 / シングルマザー / 青山薫 / 女女格差 / グローバリゼーション / 拡がるブックトーク2011 / 静岡県立大学 / 中山慶子 / 舩橋恵子 / 犬塚協太 / グローバリゼーションとジェンダー / ジェンダー問題
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