2011.10.01 Sat
【朝日カルチャーセンター★受講生レポートNO.11】「日本のフェミニズム」
★日本のフェミニズム:第5回/『ジェンダーと教育』★2011/9/17 天野正子先生
≪シリーズ日本のフェミニズム~ジェンダーと教育≫
天野先生は、かつてボストンに留学したおり、むこうの女学生の生徒手帖をみて仰天したのだそう。手帖の表紙にはこうあった。
≪私は誓います。自分自身を尊敬することを≫
「謙遜せよ」ではなく自分に敬意を抱けという「セルフ・エスティーム」。教員生活を続けてきて、天野先生がいちばん大事におもうのが、この「自尊感情を持つこと」なのだそう。生徒自身が自分を大事に、自分を育む気にならないと、教育されてもなんにも身に付かないから。なるほど。
子どもの空間である学校は、政治や会社のようなオトナの空間と比べれば、男女の平等が達成されてみえる。でも、よくよく観察すると、旧態依然の男女らしさ、つまり「男尊」で「女卑」な感覚が、がっつり伝達されているのだそう。たとえば教員自身には自覚がなくとも、男子生徒が発言するときには恥をかかせないよう配慮して、女子生徒は発言をしくじってもスル―するとか、無意識レベルでの差別がある。学校行事や進路指導、いろんなとこに「女は女らしく」を教え込む「隠れたカリキュラム」がある。
そういう「隠れたカリキュラム」が、なんと、理数系苦手な女子を作っているのかもしれないと、イギリスでは、女性の科学技術的分野への進出を促すべく、学校に技術職の女性をよんで話しをさせたり、進路指導に女性教員を増やしたり、女子の技術職モードを応援してみた。するとやがて、男子より女子が理数科目に高得点を出すようになって、むしろあせったと。この女子理数系応援プログラムを、日本はイギリスに二十年おくれて試行しはじめたとのこと。
でも、だからといって、日本の男子生徒は女子生徒より幸福にもみえなかったのだそう。天野先生は若い頃、教師の常としてつい女子より男子生徒に気を遣ったのだけど、女子よりマトモに親の期待を背負っている男子生徒は、どうも萎縮しており、のびのび発達してくれない。「男尊」って案外、男子本人の役に立ってないみたい。最近では、男子校でもジェンダー教育をするところがでてきているけど、男の先生が「僕らも嫌われちゃだめだからね~」みたいな、微妙に困り果てたモードで授業をすすめてるらしい。どうも男のオトナは男のコドモに、自分の性をどう感じるべきか、伝えるポリシーがないみたい。
なので天野先生は、男子生徒・男性についてのジェンダー分析が急務と思うそう。
うーん。ていうか、男子女子かんけいなく、まず「セルフエスティーム」が欲しいなぁ。だって中学の生徒手帳、「べからず」集だったもん。「生徒らしいほどよい自尊感情」とかいいそうな雰囲気だった。「女/男らしさ」より「生徒らしさ」からなんとかしてほしいな。「じぶん」と「性」と、どっちが先なんだろう。卵と鶏かなぁ、とか思いました。
杵渕里果(受講生)
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
タグ:女性運動 / 本 / 拡がるブックトーク / 朝日カルチャーセンター / 受講生レポート / ジェンダーと教育 / 天野正子 / セルフ・エスティーム / 隠れたカリキュラム / ジェンダー分析 / 自尊感情
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