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上野さんとNPO
2013.05.07 Tue
故加藤哲夫さん―せんだい・みやぎNPOセンターの創始者で、元代表。NPOギョーカイでは、加藤さんを知らない人はいないであろう。まだ日本にNPOという言葉がなかった時代からNPO活動を行ってきた伝説の人である。上野千鶴子さんはその加藤さんを「てっちゃん」と呼び、加藤さん著『市民のネットワーキング』の解説を書いている。
以下、抜粋しよう。
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これまで運動は、ヒトと情報を動かしてきました。それに対して会社のような営利組織は、モノとカネを動かしてきました。運動にはネットワーキングがあってマネジメントがなく、会社(社会、ではありません!)にはマネジメントがあってネットワーキングがない、と言いかえてもよいかもしれません。ちなみにてっちゃんの定義によれば、ネットワーキングとは「異質なるものに出合い、学ぶ方法」のことです。同質なもののつながりはネットワーキングとは呼びません。
ヒトと情報、カネとモノ、のすべてを動かすためには、ネットワーキングとマネジメントとの両方が必要です。これを実現してしまったのが、市民事業ことNPOでした。そしてその先陣を走り、前例のないモデルをつくったてっちゃんが、後からくる人たちに、自らの手の内を明かそうというのです。これはてっちゃんがわたしたちに残してくれる相続財産、というものかもしれません。
実はわたしはこの春から、NPO法人の理事長になりました。ウィメンズアクションネットワーク(WAN)というウエブ事業をおこなう団体です。名前のとおりネットワーキングが趣旨の団体ですが、ヒトとヒト、ヒトと情報をつなぐためににもカネとモノをうごかさなければなりません。ネットワーキングだけでなく、マネジメントの必要に迫られました。同じくNPO経営の先輩として、「勉強しろよ」と与えてくれたテキストが、この本だったのかもしれません。(p211~212)
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上野さんは社会学者として、女性の市民活動やワーカーズやNPOの研究をされてきた。活動者は研究対象であって、彼女のフィールドは研究室だった。
そして今、研究室から一歩出て自ら活動者となった上野さんがNPO活動をどう語るのか?
5月26日(日)に開催するWAN総会シンポジウム「NPOのチカラ2013」での上野さんの登壇を、実はわたしはとっても楽しみにしているのだ。
★いとうしずか★
カテゴリー:NPOのチカラ2013