「国家を超える」とは―民族・ジェンダー・宗教

新幹社( 2016-04 )

「国家を超える」とはどういうことか、本書は天下国家の問題だけを論じるために書かれたものではありません。多様な背景をもつ9人の執筆者は、それぞれの研究および仕事や生活現場の経験を通して議論を展開しています。言うまでもなく、一つのこたえは想定されていません。それぞれの立ち位置から、他者つまり周辺に置かれている者とは誰なのか、他者がどのようにつくられ、なぜ国家にとって他者が必要なのか、閉じられることのない現在進行形の探求プロセスが論じられています。そして他者化された人たちのサバイバルを理解する枠組みを提供してくれるのが民族、ジェンダー、宗教なのです。

まずは、手にとって興味ある章からご覧ください。
目次

はじめに                       黒木雅子・李恩子

I. 移民、国政、言語

1. 「日系アメリカ人」の構築と変容— エスニシティ・ジェンダー・国家の境界にて  黒木雅子

2. 国籍という記号を考える― 在日・在米コリアンの記憶と経験   李 恩子

3. 国籍・ナショナリズム・ジェンダー      佐竹久仁子

4. 日本・韓国のフィリピン人移住者たちによる複数の国家・国民とかかわる実践 永田貴聖

II. 私の視点

5. 名付けとカテゴライズの落とし穴— 在特会にみる日本の排外主義の断面 山田洋一

6. 普遍宗教は国家を超えるか?              村山由美

7. 壁を崩し他者と出会う                 寺内真子

8. 「国家を超えて」— 在日の私の視点         李 達富

9. 格差と排除にあらがい、エンパワーメントの灯りをともそう!! 梁 陽日

あとがき                         黒木雅子