2009.11.16 Mon
赤い鳥「竹田の子守唄」、岡林信康「手紙」、高田渡「自衛隊に入ろう」、美輪明宏「ヨイトマケの唄」、ザ・フォーク・クルセダーズ「イムジン河」…これらの曲は、放送されること禁じられたり、販売中止となった“要注意歌謡曲”だ。「歌」を規制するのは誰なのか? 「歌」はいかなる理由で「禁止歌」となったのか? TVディレクターの著者がその謎を追ったのが本書である。TV業界の人間がメディアのタブーに挑むのだが、あきらかになっていくのは呆然とするような事実。 取材で浮かび上がってきたのは、放送禁止歌は「実在」しないということ。要注意歌謡曲指定は一つのガイドラインであり、法的な拘束力もない。今もこれらの曲が放送されることが少ないのはマスコミの自主規制によるものなのだ。その自主規制がどのような形で成立しているのかは、ぜひ、本書で確かめてほしい。
10年ほど前にドキュメンタリー番組としてTVで放映されていたので、ご覧になった方もいるだろう。放送禁止歌である岡林信康の「手紙」がフルコーラス流れ、タイムコードだけが表示されたまっ黒な画面がエンディングだった。その画面に、ブラウン管を見つめる自分の姿が映っていた。番組が終わるまで私自身を見つめていたあの時のことが、今でもヒリヒリとした感覚をともなって思い出される。(horry)
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