伊藤公雄最終講義 2017年3月31日
タイトル
「近代=male hegemony= 社会の終わりを前に 〜なぜ男性学・男性性研究だったのか〜」

日時 2017年3月31日(金曜日)午後3時~午後5時
場所 京都大学時計台記念館二階 国際記念ホールⅠ,Ⅱ

退職年月日 2017年3月31日
専門分野 文化社会学・政治社会学・ジェンダー論

この映像は、2017年3月31日、京都大学時計台で行われた最終講義を撮影したものです。
参加されたみなさん、また、設営等でお世話になった京都大学文学部社会学研究室のみなさま、特に、中心になって準備を進めていただいた松居和子さんに、心より感謝します。

この最終講義では、最初に、なぜ私が、ジェンダー研究、特に男性学・男性性研究を研究テーマのひとつとして選択したかについてお話しました。その上で、私なりのジェンダー概念の整理などをイヴァン・イリイチの「ジェンダー」概念なども参照しつつ論じています。近代社会が、男性主導社会であるとともに、他方で、「支配する性」としての男性をとりまく不安定さが並存していたこと、それが全体主義を生み出す一つの背景にあったことなどについても議論しています。
また、1970年前後の国際的な性差別撤廃のうねりがあったにもかかわらず、なぜ日本社会が、この流れから取り残されたのかについてもお話しています。
最後に、「近代社会」の終わり(少なくとも大きな転換点)に際して、今、男性たちが「剥奪感の男性化masculinization of deprivation」ともいえる状況におかれていること、その意味でも、私なりの男性学・男性性研究が、ジェンダーの視点から「近代を超える」という試みであったことについても論じています。

<写真:伊藤公雄さん>

プロフィール
1951年生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学後、イタリア政府給費留学生としてミラノ大学留学。
大阪大学人間科学部助教授・教授を経て、京都大学文学研究科・文学部教授、放送大学教養学部客員教授、内閣府男女共同参画会議基本問題調査専門委員会委員、日本スポーツ社会学会会長、日本ジェンダー学会会長、関西社会学会会長などを歴任。
現在、京都産業大学現代社会学部客員教授、京都大学・大阪大学名誉教授、大阪府・京都府・滋賀県男女共同参画審議会長、日本学術会議会員、独立行政法人国立女性教育会館監事、男性の非暴力運動・ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン共同代表など。