
撮影:鈴木 智哉
ケース1
離婚調停が成立し、私が子どもの親権者になりました。役所から児童扶養手当をもらうにはどうしたらいいでしょうか?
ケース2
離婚して養育費をもらっていますが、子どもが大学に進学したいといいだし、到底進学費用に足りず、困っています。どうしたらいいでしょうか。
◎手当で支えられるひとり親家庭の家計
ひとり親家庭になって、養育費をもらっても、今後の家計はやっていけるかと心配が募るひともいるでしょう。厚労省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html) によれば、母子世帯の母自身の平成27年の平均年間収入(養育費や児童扶養手当等の公的な給付も含みます)は243万円、母自身の平均年間就労収入は200万円。前者から後者をひいた差額は43万円。公的な給付がとても重要ということがわかる数字です。別れた配偶者に養育費を請求するほか、さまざまな支援制度を利用しましょう。
◎児童扶養手当
まずは児童扶養手当。児童扶養手当とは、父又は母と生計を同じくしていない児童(18歳に達する以後の最初の3月31日までの子ども。一定の障がいがある場合、20歳までの子ども)の健やかな成長に寄与することを目的として父又は母に支給される手当です。ひとり親家庭の命綱ともいわれます。
要件は、児童扶養手当法4条に「父母が婚姻を解消した児童」等と定められています。2012年8月から、児童扶養手当の支給要件に、配偶者からの暴力で保護命令が発令された場合も加わりました(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/dl/120802-1a.pdf)。 離婚が出来ていなくても、保護命令が発令された場合には、役所に児童扶養手当の申請をしてみましょう。
ケース1の場合、離婚したのだから、黙っていても手当が支給されるはずだ…と安心してはいけません。離婚したら自動的に受給できるのではなく、申請しなければ受給できないのです。その上、申請月からカウントされ、申請する前の手当は受給できないことも要注意。離婚したら即お住まいの市区町村の役所に赴き、受給したいと相談してみましょう。
なお、所得が一定額以上だともらえないなど受給要件があります。所得に応じて手当額も異なります。以前は、老齢年金や障害年金などを受け取っていたら受給出来なかったのが、2014年12月1日からは、それらの年金のほうが児童扶養手当よりも低い金額の場合、申請により差額を受領できるようになりました。
児童扶養手当の金額は、毎年の消費者物価指数の変動に応じて手当額を改定する物価スライド制を取っています。平成30年4月からの手当額は、以下の通りです。

毎月支給されるものではなく、年3回、4ヶ月分をまとめて支払われるもので、家計が追い詰められてしまうという問題が指摘されていました(みかわよしこ「児童扶養手当の「まとめ支給」に隠された恐るべき貧困への罠」2016年1月8日 http://diamond.jp/articles/-/84310?page=2 )。ようやく、2ヶ月ごと支給へと見直しが検討されているようです(「児童扶養手当2カ月ごとに 厚労省が支給見直し検討」共同通信2017年8月13日/10月26日更新https://this.kiji.is/269369580312559619?c=113147194022725109 )。しかし、一歩前進とはいえ、2ヵ月でなく毎月支給にしたほうがいいのに…。制度変更前の今まだ再考してほしいところです。
何はともあれ、調停成立後様々な届出で忙しいときと思いますが、市区町村の役所で児童扶養手当を申請しましょう。
◎母子父子寡婦福祉資金貸付金等
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親家庭の父母等が、就労や児童の就学等で資金が必要になったときに、都道府県等から貸し付けを受けられる制度です。返済しなければなりませんが、貸し付け利率はゼロ円です。保証人がいない場合でも借りることもできますが、その場合、1.0%の利息がつきます。修学資金の場合、親が借りる場合は子どもが連帯借受人となり、保証人はいりません。子どもが借りる場合は、親等が連帯保証人になる必要があります。
ケース2の場合、この貸付が受けられないか、検討してはいかがでしょう。
お住まいの都道府県・市区町村によっては、その他様々なひとり親支援制度があります。いずれも、申請してはじめて受給できるものだと思われます。遠慮無く役所の窓口で確認し、申請に必要な書類をもらいましょう。
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