「"veryberry"でのインターン体験」~カンボジアにて(1ヵ国目/世界一周)

初めましてこんにちは。大学生の佐野仁美です。本来ならば大学2年生の年ですが、現在は休学中です。その休学の理由は、世界一周旅行をするため。世界を知りたい、見たいという衝動に駆られ、出発を決意しました。いま私は、重いバックパックを背負い、世界中を旅している真っ最中。これから、旅の途中で考えたことや感じたことを書いていこうと思います。

私が最初に選んだのは、カンボジアです。世界経済フォーラム(WEF)によると、カンボジアのジェンダーギャップ指数は調査対象144ヵ国のうち99位(「The Global Gender Gap Report 2017」より)。中でも、出生時の男女比率1位、平均寿命第1位、収入第19位と、これらの項目で高得点をおさめています。東京からカンボジアのシェムリアップまでの距離は約4400km。直行便はないため、乗り継ぎ一回の最短ルートでも10時間ほどかかります。

今回訪れたのは、シェムリアップのオールドマーケット近くに位置するveryberryさん。メイドインカンボジアにこだわった、オリジナル&セレクトショップです。ここで売られている商品は、カバン、スカーフ、ワンピース、アクセサリー、さらには石鹸や胡椒など多岐に渡っており品揃え豊富。そして、中でもこの店の一押しはウォーターヒヤシンスから作られたカゴバッグ。これは、村の女性たちの手作りです。現在では、veryberryさんにだけ卸す自社の工房がトンレサップ湖近くに建てられ、女性たちの本格的なトレーニングが始まっています。

自社工房があるトンレサップは、シェムリアップからバイクで約30分離れた村。シェムリアップの観光に特化した雰囲気とは打って変わって、ここには田舎特有の雰囲気が漂います。手作りの家に、舗装されていない道路、そして使い込まれた井戸。私が見た子供達はみな裸足。それでも元気に走り回り、大人用の自転車を器用に乗りこなしていました。ここに溢れているのは、文明でもなく、便利さでもなく、力強さ。ここにいる人たちの笑顔は、力強い。工房で働いていた女性たちは全員既婚で子持ちです。子供を工房に連れて来ていたスタッフの方もいました。なんと、カンボジアの女性たちは出産する数日前まで井戸で水を汲み、産んで約2週間後にはまた働き始めるのだとか。乳児期は、予防接種など何かと病院に通わなければならない時期ですが、家にいるお婆ちゃんが子供を連れて行ってくれるそう。この村には、核家族が殆どいません。だからこそ、育児を助けてもらうことも可能です。

「ウォーターヒヤシンスのカゴバッグを作る」と聞くと、どんな工程を想像されるでしょうか。「編む」工程を真っ先に考えた方がほとんどだと思います。しかし、もちろんのことながら「編む」だけではありません。「編む」までには、長い作業があります。井戸で水を汲み、その水と石鹸でウォーターヒヤシンスを洗い、炭と硫黄で蒸す。この一連の作業が、実は大変なのです。私も微力ながらインターンとしてお手伝いしたのですが、想像以上に体力を消耗しました。しかし、彼女たちはそれらの作業を淡々とこなしていきます。

ウォーターヒヤシンスのバッグを作る女性を含め、この村の女性たちは逞しい。「女だから」なんて言ってられない現状とともに、そこからひしひしと感じたのは、生きるための「力強さ」でした。日本にいると「守ってあげたくなる女の子」や「か弱い女子」が市民権を得て、「理想の女像」として掲げられることが多くあります。しかし、それは男性社会が作り出した男性側の理想像。日本で作られているその女性のイメージは、もう今は「賞味期限切れ」なのではないかと、カンボジアの女性たちを見て感じました。(佐野仁美)