2018年9月15日(土)から11月25日(日)にかけて「第40回ぎふアジア映画祭」が開催された。ぎふアジア映画祭は1979年にスタートし、岐阜市の姉妹都市のある国イタリアと中国の映画上映などをしていたが、少しずつ上映作品がアジアの国の映画に拡がった。2002年に市民スタッフを公募してから、アジア映画の作品本数が増えた。現在は約40人の市民スタッフが、作品選定、チラシ・ポスターデザイン、作品紹介、かわら版作成、企画運営、記録写真撮影、ホームページ更新など得意分野を担っている。特に作品選定スタッフは日頃から映画館でアジア映画を観ている。私自身も市民スタッフとして関わっており、週1回は映画館に通っている。市民スタッフの仲間と台湾や釜山国際映画祭、香港国際映画祭にも出かけている。
今回の映画祭では『バーフバリ 王の凱旋』(インド)、『立ち去った女』(フィリピン)、『ローサは密告された』(フィリピン)、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(日本)、『ソニータ』(イラン)、『草原に黄色い花を見つける』(ベトナム)、『馬を放つ』(キルギス)、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(韓国)、黒澤明監督特集『羅生門』など、18本が上映された。『予兆 散歩する侵略者 劇場版』の上映では、黒沢清監督と脚本の高橋洋さんのトークイベントも行われた。
また、40回を記念して『木靴の樹』(イタリア)、『悲情城市』(台湾)、『さらば、わが愛 覇王別姫』(香港)、『幕末太陽傳』(日本)も「恋スル名作」として上映された。クロージングは『でんげい~わたしたちの青春』(韓国)上映と、韓国伝統音楽鑑賞として、朝鮮韓国伝統音楽グループ「ノリパン」のLIVE!
『でんげい~わたしたちの青春』は、韓国の伝統芸能「地神パルキ」の練習をする、大阪代表の建国高校伝統芸術部、略して“でんげい”の高校生の汗と涙のドキュメンタリーだ。釜山MBC製作。この映画の配給をしたのは、有限会社キノ・キネマ。代表の岸野令子さんは大阪在住で、韓国を何度も訪れ、単館系の優れた作品を宣伝配給している。
わたしは2005年に、名古屋の映画館シネマスコーレで岸野さんが配給に関する講演をされ、興味を持った。その年、ぎふアジア映画祭では『子猫をお願い』(韓国)を上映することが決まり、市民スタッフから監督を呼びたいという企画が提案された。事務局としては難しいかもという判断だったが、岸野さんにコーディネートしていただき、チョン・ジェウン監督を招待することができた。さらにチョン監督の作品が入った、人権をテーマとした作品『もし、あなたなら~6つの視線』(キノ・キネマとシネマコリアの共同配給)も上映することができた。
今回の『でんげい~わたしたちの青春』も、岸野さんがぜひ日本の人にも観てほしいとキノ・キネマが配給することになった。優れた作品を宣伝配給するキノ・キネマの存在は、韓国と日本の架け橋として貴重である。岸野さんは今日もアクティブに活動している。(山田祥子)
※ぎふアジア映画祭のHPアドレス http://gifuasia.com/
※下記写真のスライドは全て『でんげい~わたしたちの青春』から。
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