パラグアイ・イグアス日本人居住区にて(39ヵ国目/世界一周)

メキシコ、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン越えて、今回は、パラグアイのイグアス日本人居住区に来ました。世界経済フォーラム(WEF)によると、パラグアイのジェンダーギャップ指数は調査対象144カ国のうち96位(2017年データ)。日本の114位と比べると、僅差でパラグアイの方が進んでいますが、代表的な問題に平均給与の男女差や大学進学率の差などが挙げられます。東京からパラグアイの首都アスンシオンまでの距離は約18,000km。直行便はないため、乗り継ぎ2回の最短ルートで30時間以上かかります。

南米ではペルーのマチュピチュやボリビアのウユニ塩湖へ行ってきました。マチュピチュへは3時間のトレッキングを経て、ウユニ塩湖へは長距離バス移動を経て、それぞれにつきました。そして、やはり人々に知られている場所なだけあり、本当に絶景。目の前に広がる空中都市や鏡ばりを見ながら、自分が思い描いた場所へたどり着けたということに感動しました。

 <肉を焼いてくれる、民宿小林のお父さん>

さて、今回私が訪れたイグアス日本人居住区とは、その名の通り、日本人が多く住んでいる地域です。イグアスの滝に近く、アルゼンチンとブラジルの国境近くの街。南米移民といえばブラジルが有名ですが、1934年に外国人移住者二分制限法が制定されてからはブラジルへの移民の数は激減し、ブラジルに取ってかわるようにパラグアイに今度は移民が増えました。そして今でも、多くの日本人が日本の裏側の地パラグアイで生活しているのです。

このイグアス日本人居住区で私が宿泊したのは、「民宿小林」という日本人宿。旅人の日本人の間でかなり有名で、まさに「おばあちゃんの家」に遊びにきたような安心感のある宿です。そんな民宿小林の良さといえば、やはり小林さんご夫婦の人柄にあります。美味しい料理を振る舞い、いつも周りの世話をしてくれるお母さんと、いろんな場所へドライブに連れて行ってくれ、夜は一緒にトランプをして遊んでくれるお父さん。そんな優しいお二人と過ごせるからこそ、長居してしまう宿泊者も多いそう。

 <お母さんのおいしい手料理>

私はそんなお二人を見ながら、勝手に理想の結婚について考えていました。もともと、世界一周前は結婚願望がほとんどなかった私。結婚という契約関係を結んで自分の自由が制限されるくらいなら、一人で生きていきたいと思っていました。しかし、世界一周をしながら様々な「家族」の形を目にして、大切なパートナーとともに人生の時間を共有し、一人では実現できなかった新たな幸せの形を手にすることにも興味を持ち始めました。そんな結婚について興味を持ち始めた私にとって、自分の得意なものを分担し、仲睦まじく宿を経営なさっている小林さんご夫婦が、とても素敵に見えました。

日本の結婚制度についてジェンダーの視点から眺めてみると、多くの課題が浮き彫りになります。女性ばかりが掃除や料理などのアンペイドワークを担ったり、苗字を変えるのは女性側という考えが根強く残っていたり。だからこそ、夫婦間でのコミュニケーションを通して、二人の間で妥協点を作り、お互いが納得しあって生活を営んでいくことが大事なのだと思いました。

そしてある日、宿のお母さんに、お二人のような結婚に憧れていることを伝え、結婚生活の秘訣について聞こうとした私。そんな私に、お母さんは「結婚っていうのはね、諦めることよ」と言いました。大学生21歳の私は、現実の厳しさを目の当たりにした気がしました。(佐野仁美)

 <小林ご夫妻に可愛がられている犬たち>