*「SDGsみらい探究」始動!*
O高校で新しく始める「総合的な探究の時間」の名称は「SDGsみらい探究」と決まった。取組を広く知ってもらうためには、名前も大事であると考えていた。前述したように、これからSDGsをテーマとした探究学習に取り組む学校は増えるであろう。よって、「SDGs」と「探究」が検索急上昇ワードとなるであろうから、「SDGsみらい探究」が引っかかる確率が高くなり、より多くの方に本校の取組を知っていただけるのではないかという思惑である。それを聞いた探究チーフは、「いや~やっぱりシタタカですね~」とまたしても呟いた。誤解を招かないよう、そろそろこの辺で意義申し立てをしておきたい。私は決して強い印象を与えるタイプではないし、ずるくもないと思っている。(笑)もしかしたら…この探究チーフはICTは得意であるが国語が苦手なのかもしれない。言葉の意味を間違えて捉えている?うん、きっとそうだ。
さて、高校の授業において以前から「ジェンダー」について教えていた教科は家庭科と公民科であろう。特に家庭科においては、かなり前から教科書で「ジェンダー」という言葉が使われていた。本校は、単位制高校であることから、家庭科の選択科目が多く設置されているため、家庭科の教員が4名配置されていた。そのうち2名は福祉の免許も持っている。皆揃って、いい授業をしていた。それもあって、もともと生徒たちは家庭科及び福祉の授業において、ジェンダーギャップ指数やLGBTQに関して学んでおり、ある程度のレディネスを持っていたことも、SDGsみらい探究が順調に進んだ1つの要因であったと思う。
また、やはりO高校においても、プロジェクトを牽引するリーダーとなる生徒の育成を同時に進めることにした。リーダー養成を目的とした「みらい塾」の一期生は16人ほど集まった。
*心に揺さぶりをかける*
2020年秋 O高校 着任1年目
本校の取組が県内で広く知られるきっかけとなった取組に「制服の自由化」が挙げられるであろう。自由化と言っても制服を無くすとか、校則を緩めるということではなく、性別に関わらず制服を自由に選択できるという意味である。ブレザー、スラックス、スカート、ネクタイ、リボンを自由に選択でき、ブレザーとスラックスについてはそれぞれ2種類あるが、どちらを着用してもよいことになっている。
現在、このような制服の自由化を進める学校は全国各地で少しずつ増えているようである。平成27年に文部科学省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」という通知が出されており、服装については自認する性別の制服を認めるよう学校現場に求めていた。これに鑑みてG県教育委員会においても女子用スラックスの導入について県立高校に指示をしていたため、他校においても進められていたが、「女子用スラックスを用意した」ということだけではなく、「性別に関係なくすべて自由に選択」とした点が県内ではめずらしかったのであろう。
私見ではあるが、学校において何か新しい取組を始めたり、規則等を変更したりする場合、生徒の意識を改革する教育を同時に進めることが大切ではないかと考えている。今回の制服の自由化においても、ただ規則を変えただけでは「なぜこのような変更をすることが大切なのか」という本質が生徒に伝わらない。大切なのは生徒の心に揺さぶりをかけ、明確に趣旨を伝えることである。「今の若者は何に対しても無関心だ」などとひとくくりに言われたりするが、揺さぶりをかけられた生徒の心は大人が考えている以上に純粋である。
2021.09.01 Wed
カテゴリー:WANジュニアプロジェクト
タグ:私とフェミニズムの間 / フェミニズムのバトン / フェミニズム世代間継承