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はみだしインディアンのホントにホントの物語 (SUPER!YA)
2011.06.10 Fri

はみだしインディアンのホントにホントの物語 (SUPER!YA)
訳者など:シャーマン・アレクシー ()
出版社:小学館
YA作品はエンタメであろうとなかろうと、子どもが感じ始めた自分と世界との間の違和感を描きます。その意味でアレクシーの今作はしごくまっとうなYAといえます。 主人公は保留地で暮らすインディアン(ネイティブアメリカンとも呼ばれています)の少年。生まれた頃から脳に髄液が溜まる疾患を抱えていて、言語障害もあるし、友人たちからはアホと言われてきました。いじめまくられていたのです。唯一の友人ラウディは、世界を憎んでいて、すぐに切れてしまう奴。それでもオレのことは絶対に守ってくれる。 保留地はまあ、貧乏の塊みたいなところで、オレのおやじは飲んだくれ。悪い人ではないけど、どうしようもない飲んだくれ。 そんな先行きのない保留地から、ある時オレは飛び出すことにします。保留地の外、白人の高校に転校するのです。それで何かが変わるかはわからないけれど、このままはいやだ。 もうビビリまくりで白人のそれも一流校へと出かけるオレ。差別迫害の嵐にも耐えてみせる覚悟です。が、そんなことは全然無くて礼儀正しい生徒がほとんどで少々拍子抜け。保留地の学校の方がいじめはひどかった。 しかも学校でも人気者の女の子が何故かオレを気に入ってしまうし。 そして、マンガを描くしか興味の無かったオレは、バスケのコーチにその才能を見いだされ、入部。シューターの切り札となる。 一方、保留地の学校では、オレは裏切り者とされ、親友だったラウディもオレを憎んでいる。 なんと初めてのバスケの試合は保留地の高校だった。どうなる? アレクシーは、『カラーパープル』のような逆転の発想で、インディアンの抱える痛みをどんどんどんどん描いていきます。容赦ないユーモアで。 もちろんこれは、アレクシー自身がインディアンであるからこそ描けた設定なのですが、もう大丈夫。最初の物語は当事者以外書けないとしても、一度書かれてしまったら、次からは誰でもOKです。なぜなら物語は参照によって生まれるのですから。 とにかくおもしろいですよ。
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