本
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小林エリコ著『わたしはなにも悪くない』 あなたはなにも悪くない、というメッセージ 安藤聡
2019.06.04 Tue
酒を飲んでは荒れる父親の顔色をうかがう機能不全の家族環境で育ち、学校ではいじめにあい孤立、進みたかった美術への道も家族の理解を得られず断念。短大卒業後勤めた編集プロダクションでは、ブラックな作業環境とあまりの低賃金に絶望し、うつを発症し自殺をはかる。 未遂に終わるも精神疾患者として精神病院の閉鎖病棟へ入院。回復して退院、生活保護を受けな…
タグ:本
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沼崎一郎著『「支配しない男」になる-別姓結婚・育児・DV被害者支援を通して』 政治的なことは(男にとって)個人的である 沼崎一郎
2019.06.04 Tue
本書に収録した論考は、夫婦別姓や育児やDVを自分自身の「個人的なこと」として受け止め、積極的に関与するなかで、「性/性別による差別と搾取と抑圧とを終わらせようという運動」に貢献しようとする一男性の立場から、「政治的なこと」を改めて学問的にも問い直そうと試みたものである。 序では、私が夫婦別姓、育児、DV被害者支援に関わるようになった経…
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信田さよ子著『「性」なる家族』 力関係としての「性」をカウンセリングの現場から読み解く 信田さよ子
2019.05.28 Tue
性虐待の問題は裁判判決の問題として近年注目を浴びている。本書では夫婦間の性(不妊治療、高齢者の性)をはじめとして、性暴力(痴漢、セクハラ)や性虐待の背景などをカウンセリングの経験に立脚して述べた。 書き進めるほどに、性暴力はもっともプライベートな問題でありながら、構造としては驚くほど国家の暴力と似ていることに気づかされた。とかく…
タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 本
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松永美穂著『アルプスの少女ハイジ』 「クララが立った」だけじゃない 松永美穂
2019.05.27 Mon
ひょんなことから、テレビでハイジの話をすることになった。ハイジといえば、スイスの山から大都会フランクフルトに連れていかれ、ホームシック&夢遊病になった少女である。その後、山に戻されて元気になるが、今度はフランクフルトから足の悪いクララがやってきて、ハイジの励ましを受けて奇跡的に歩けるようになる。まあ、だいたいそんなストーリーが思い浮かぶ…
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跡見順子著『「細胞力」を高める 『身心一体科学」から健康寿命を延ばす』 細胞力を高めて、いつでも闘える女になる 跡見 順子
2019.05.24 Fri
おかしいと思ったら声をあげる。変だと思ったら立ち上がる。不当な扱いをされている人を見たら立ちはだかる。頭にきたら怒る。これまで日本人女性に無かった強さです。でも、よく考えてみてください。声を出すのも、立ち上がるのにも、怒ることでさえ、身体とエネルギーを使う「行動」です。こうしなくちゃいけない!と思った時に、すぐに行動できる身体を持つこと。…
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『沖縄の米軍基地を「本土」で引き取る! 市民からの提案』 基地を引き取ることと性暴力とのディレンマ 里村和歌子
2019.05.24 Fri
本書は、全国で基地引き取り運動に携わる市民たちが協力して作り上げた一冊である。フェミニストでもあり、編者の一人でもある筆者が、僭越ながらこの場を借りて本の紹介をしてみたい。 基地引き取り運動とは、全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中している現状について、「本土」側の市民こそが、歴史的・政治的に沖縄に基地を押しつけている当事者なのではない…
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富永京子・著『みんなの「わがまま」入門』 (紹介:守屋佳奈子・左右社)
2019.05.09 Thu
なにかを強く主張し、変えようとすると、「それはわがままじゃない?」と言われてしまう。 あるいは、身近な人の行動を「わがままじゃん」と思ってしまう。 多様な人が生活するからこそ、「貧困」や「女」といった属性で簡単にはつながれず、他人と痛みを共有できない時代に、どうやって主張をして、環境を変えていくことができるのか。その方法を、中高生に語りか…
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藤本和子・著『塩を食う女たち 聞書・北米の黒人女性』――わたしたちを生かしてきたものに、わたしたちが気づくとき ◆評者 松本芽久美