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ふたつの「魂」の交感『うさぎとマツコの往復書簡』中村うさぎ/マツコ・デラックス

2011.01.14 Fri

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「うさぎとマツコ」と聞いたら読まないわけにはいかない。ホントはマツコ・デラックスのことはあんまり知らないけど、中村うさぎが彼女のことを「魂の双子」と呼ぶんだから、きっとおもしろいにきまってる。

往復書簡で取りあげられるテーマは、「オカマとシングル女」「2009年夏の総選挙」(なんだかとっても昔のような気が)「女性議員」「スカートを穿いた男」「フェミニスト」「同類憎悪」「女装」「母親との関係」「他者とつながっていくこと」「セクシュアリティ」…など、多岐にわたる。

たとえばうさぎが、彼女が憎悪する男性的メンタリティを身につけた一部の女性議員やフェミニストへの嫌悪感をあらわにすると、マツコは「お互い、やり方は別にしても、その先にあるであろう、まだ見ぬ誰も知らない場所を目指しているのであれば、その部分は尊重すべき」と返し、うさぎが「男権社会」への強い憎悪が現在の彼女を形成する原動力となっていると言ったことから、「結果的に表現スタイルが大幅に違っていたとしてもよ、社会的立場もメンタリティも、すべて男並みになることこそ執着し、男のように支配的に振る舞うことしか出来なかった、男の存在にがんじがらめになってしまっている女たちには、むしろ嫌悪感というよりは、親近感すら持っているのが当然の流れではないかしら?」と反論する。そしてマツコとの議論を通してうさぎはみずからに「オヤジ嫌悪」の延長線上にある「オヤジ女嫌悪」を認め、彼女は「オヤジ女」と「フェミニスト」というまったく違う両者を混同する傾向があることに気づく。またある手紙でうさぎは、マツコにとっての「女装」とは何なのかを執拗に迫る。もちろんこれはふたりの間に確固たる信頼関係が築かれているからこそのやりとりである。

マツコがバーブラ・ストライザンドとロバート・レッドフォードの『追憶』について熱く語る場面ではわたしも思わずうるっときた。わたしも「前時代の遺物」かも。(lita)








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