2011.07.04 Mon
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ある日、「世界」をどうにかできるほどのとんでもないな力を持つことになったら、あなたはどうするだろうか。自分のために使う? 誰かを護る ために使う? 世の中を変えるために使う? それとも使わずに封印しておく? どうあれ、その行為のなかには、わたしたちが日頃抱いている 「正義」や「思想」が、少なからず反映されているのではないだろうか。
これは、世の中をどうにかできてしまう力である 竜の子(竜骸)とリンクした子どもたちの、思想と生き方の物語である。
主人公は小学六年生の女の子・玉依シイナ。ある日、シイナは星型のヘンなモノに出会う。シイナはそれにホシ丸と名付けた。そしてそのときか ら、シイナは、人の「生き方」をめぐる様々な思惑の闘争へと巻き込まれていく――。
竜の子とは何なのか、竜とは何なのか、そしてそれらと地球との関係は、竜の子と子どもたちはなぜリンクしたのか。そして、シイナのもとにホシ 丸がやってきた理由は…?
わたしたちはどう生きるのが正しいのだろうか。思想の多様性のなかで、いつも思い描いていた理想や机上の空論と言われてきた理論を現実化でき る力を手に入れたなら、わたしたちはどう生きるだろう。
印象に残る言葉がいくつかあった。「自分が世界のどこにもあてはまらない時どうすればいい? 世界のカタチにあわせて自分を削るか、自分のカ タチにあわせて世界を削るか」。
『なるたる』は、そんなことを考えさせられる作 品であった。
「正義」や「正しさ」について興味のある方には、是非とも一読していただきたい作品である。(杏)
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