
「多様性」がいわば流行りの言葉と化している一方で、「色んな国の人が増えれば、日本社会は自然に多様になる」というように簡単に考えられがちなのが気になります。
では「ほんとうの多様性」とは何なのでしょうか。筆者は「決めつけとサヨナラすること」だと考えます。
「外国人に見えるから外国人のはず」「外国人の場合は、こういう行動をするはず」などと人を見た瞬間に決めつけ、頭の中でどんどん「~のはず」が増えていくのは、多様な考え方とはいえません。
国際結婚から生まれた子供が増えている今、プロテニス選手の大坂なおみさんのような「黒人の日本人」もいますし、「白人の日本人」もいます。逆に「日本人に見えるけれど、実は外国人」の人もいます。そもそも「見た目」で外国人であるか否かの線引きをするのは無理がありますが、「見た目で外国人か否かを判断する」ことが実際には頻繁に行われているわけです。
ところで「多様性」というと「異なる文化や慣習を全て受け入れること」と考える人もいます。特に日本は欧州の国々と比べて、移民の数が少ないですから、異文化というものについて理想主義的になるのか、「幻想」を抱く人がいます。
筆者が出身のドイツでは「どの文化も尊重されるべき」と考えられていますが、同時に「たとえ長年行われてきた慣習であっても、女性蔑視や暴力は受け入れられない」とハッキリ線引きしています。
具体的な例をあげましょう。ドイツでは「娘がドイツ人の男性とデートをして婚前交渉をした」という理由から、イスラム教徒の父親が娘を殺害するという事件が度々起きています。「名誉殺人」がドイツ国内で起きているわけです。娘を強制的に結婚させたり、「ドイツの共学の学校に通わせると娘がふしだらになる」という考えから、娘を学校に通わさせようとしない人も。こういったことに対してドイツは国として「ノー」を突き付けています。
日本と違い、ドイツでは外国籍の子供にも就学の義務がありますので、国や州は見て見ぬふりをせず子供を学校に通わせます。強制結婚の問題についても女性の駆け込み寺が用意されるなどの対策が取られています。このような仕組みが「社会のなかでもっとも弱い立場におかれている移民の女性」を守ることにつながっています。
多様性を考える上で「文化が違うのだから、誤解や衝突はあって当たり前。長い時間をかけて、ゆずれるところとゆずれないところをお互いに交渉していこう」という心構えを持つことが大事なのではないでしょうか。
◆書誌データ
書名 :ほんとうの多様性についての話をしよう
著者 :サンドラ・ヘフェリン
頁数 :210ページ
判型:四六判
刊行日:2022/6/16
出版社:旬報社
定価 :1,760円(税込)
ISBN:978-4845117635
慰安婦
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