WAN基金報告「ChatterboxⅢ―変化を伴い持続する4人―」 2022年8月29日~9月3日、Chatterbox実行委員会は展覧会「ChatterboxⅡ-交錯する4人の場面-」を開催致しました。  Chatterbox展は、毎年異なる組み合わせの4人の女性作家の個展を座談会によって緩やかに繋ぐ展覧会として2020年に始まりました。3回目の本年は、絵画の飯沼、絵画の釘町一恵、インスタレーションの斎藤英子、立体の間々田佳による個展で構成されました。展覧会の事前に行われる座談会では、各々が体験した美術教育と時代、ジェンダー、制作や発表などについて率直な言葉で語られます。そしてその記録冊子を作成し、展覧会会期中に会場にて配布致しました。 昨年に引き続き、本年もこの冊子はWAN基金から助成を受けることとなりましたので、冊子についてご報告申し上げます。なお、展覧会についてはWANサイト内にてイベントの告知をさせて頂きましたので、そちらをご参照ください。 https://wan.or.jp/calendar/detail/6746#gsc.tab=0 座談会記録冊子「ChatterboxⅢ―変化を伴い持続する4人―」 座談会は展覧会事前に、協力者宅にて非公開で行われました。内容は、美術教育におけるジェンダー、女性の表現に見られる痛み、そして作家それぞれの制作の根源に触れるものとなりました。6時間に及ぶ座談は、メンバーによる文字起こしと編集・校正を経て12頁の小冊子にまとまりました。各頁には脚注を入れ、本文中に見られる美術の専門用語や各時代特有の用語、そしてフェミニズムに関する用語を解説致しました。美術関係者であるなしに関わらず、幅広い年代の読者を得られる内容になったことと思います。今年はメンバーとの協議の上で表紙に作品画像を挿入致しました。「案内状を紛失しても話者の作品を確認できる」と概ね好評を頂いております。 作成した冊子は、各専門家への送付と展覧会会場で来場者に配布を行いました。また、展覧会会期後には複数の美術館図書室や美術大学図書館への寄贈も行いました。多摩美術大学図書館、東京造形大学附属図書館、国立新美術館アートライブラリー、東京国立近代美術館アートライブラリー、東京都現代美術館美術図書室、そして国立国会図書館には既に前回までの冊子が収蔵されております。今年はそれらに加え、新たに武蔵野美術大学図書館に寄贈して受諾されました。 市場主義に偏り、自由な表現を追求する美術作家に焦点が当たりにくい日本の昨今の美術界において、美術作家が援助を受けることは容易ではありません。そんな中で、私どもの活動にご理解頂き、WAN基金の助成を受けることが出来たことは大きな励みとなりました。心よりお礼申し上げます。