WANサイトユーザーからの投稿を転載します。(下に筆者が調査したPDFがあります)
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【投稿】「女子大に理工学部を(理工学部新設基金に女子大が応募し、文科省は女子大を優先的に選定を)」

文部科学省は理工学部新設に3000億円基金を独立行政法人「大学改革支援・学位授与機構」に創設し、2023年度から募集を始めます。
この基金に女子大の皆さんで手を挙げてほしいです。

全国の女子大を調べたところ、
理学部と工学部があるのは予定も含め、2大学(お茶の水女子大学・奈良女子大学)、
理学部のみある女子大は1大学(日本女子大学)。
理工学部はないが、大学院理学研究科がある女子大は2大学院(津田塾大学(学部に数学科・情報科学科あり)・東京女子大学(学部に数理科学科あり))でした。
東京女子医科大学や女子美術大学はありますが、女子理科大学や女子工科大学はありません。
家政学部がある29女子大は理数入試を個別入試で実施しています(大妻女子大学・共立女子大学・実践女子大学・東京家政大学・岐阜女子大学・椙山女学園大学・名古屋女子大学・京都女子大学・同志社女子大学・大阪樟蔭女子大学・神戸女子大学・武庫川女子大学・安田女子大学・九州女子大学・広島女学院大学・金城学院大学・相模女子大学・鎌倉女子大学・東京家政学院大学・和洋女子大学・聖徳大学・女子栄養大学・宮城学院女子大学・仙台白百合女子大学・藤女子大学 千里金蘭大学・梅花女子大学・十文字学園女子大学・郡山女子大学)。
家政学部がなくても理数系の個別入試を選択科目で実施している女子大学は15大学あります(活水女子大学・ノートルダム清心女子大学・園田学園女子大学・神戸女学院大学・神戸女子大学・神戸松蔭女子学院大学・甲南女子大学・京都光華女子大学・清泉女学院大学・日本女子体育大学・東京女子医科大学・昭和女子大学・駒沢女子大学・跡見学園女子大学・西南女学院大学)。
2023年4月に2大学が共学化するため、2023年度以降、女子大は74大学になりますが、個別入試で理科・数学入試を実施している女子大は49大学。全体の2/3の女子大が理数入試を実施しています。
女子大は広い敷地を持つ大学が多く、新校舎を建てる余裕もあります。また、女子大は伝統校が多く、特に明治時代から女子教育をリードしてきた実績があります。現在、多くの女子大に大学院や博士後期課程があります。多くの学生が大学院に進学する理工学部新設に問題はありません。女子の理工系学生は企業から人気があり、引く手あまたです。東京工業大学は「女子枠」を入試に設ける予定ですが、それでは足りませんし、東工大で女子枠入試がいつまで続くかも未定です。女子大理工学部なら共学で問題になる男子との公平性も問題になりません。女子大に理工学部が設置されれば、女子枠が確実に確保され、毎年確実に女子が理工学部へ進学することになります。女子大に当たり前に理工学部が設置されれば、女子が理系に進学する事は当たり前になり、普通になります。女子大なら本人も親も安心して進学できます。女子大の付属高校から付属女子大に進学する際も理系の選択肢が増えます。女子大の学問分野の多様性にも貢献します。
女子教育のイメージを女子大は担っているのです。今、女子大の理工系学問分野に進学したいと思ったら、お茶の水女子大学、奈良女子大学、日本女子大学、津田塾大学、東京女子大学、京都女子大学(データサイエンス学部)くらいしかありません。そして、女子大では理工学という名称は情報科学系の学部学科に使いません(大妻女子大学社会情報学部・相模女子大学メディア情報学科・椙山女学園大学文化情報学部・武庫川女子大学社会情報学部)。理系を前面に出したくないように見えるのです。不思議ですね。
もし、当たり前に多くの女子大に理工学部があれば、女子大理工学部に行きたい女子も増えるのではないでしょうか。企業とのコラボレーションも女子大ならではのものができます。理系女子が女子大に進学することで文系女子も刺激を受けることが出来ます。理系の若い優秀な研究者の安定した就職先にもなります。理系は就職も良いです。女子大はもともと就職率が高いですが、理工学部新設でさらに就職率を上げることができると思います。女子大(女子校)出身者はリーダー(学生会長・文化祭代表・ゼミ長・クラブやサークルの部長など)や力仕事もこなす経験をしています。将来の女性リーダーの準備を女子大で経験している学生も多いと言えます。
理工学部を設置するポテンシャルは女子大にあります。
理工学部新設基金に多くの女子大が応募して、女子大理工学部設置を実現すれば嬉しいです。
理工学部新設は注目を集める話題ですので、理工学部新設は新聞やネットニュースに掲載され、大学の宣伝にもなります。
おそらく、今を逃したら、日本の女子大は今後100年間、文系に偏ったままです。それは日本にとっても女子大にとっても日本の女子全体にとっても大損失です。女子の理工学部進学増加はイノベーションを起こす大きな原動力になると思います。既存の共学理工学部の「女子枠」はいつまで続くかわかりません。女子大に理工学部を設けることに意味があります。
余談ですが、女子大について更に付け加えれば、政治経済学専攻も少なすぎます。上野千鶴子先生は著書『女ぎらい ニッポンのミソジニー』の中で「娘は工学部や経済学部へはめったに進学しない」(144ページ8行目)と指摘しています。
聖心女子大学国際交流学科では国際政治・国際経済を学べますが、学科名称に「政治・経済」はありません。女性政治家を増やすためにも女子大で政治・経済を学べるようになれば良いと思います。津田塾大学の総合政策学部は女性首相を出したいと設立されたと聞きました。でも、学部名は政治経済学部ではありません。女子経済大学も日本に存在しません。
女子大に理工学部が増えてほしいですが、政治経済学部も増えてほしいです。そして、理系女子や女性政治家も増えてほしいです。
全国の女子大の学部学科調査をしましたが、予想通り理系や政治経済の専門分野は非常に少なかったです。
ぜひ、理工学部新設基金に多くの女子大が手を挙げて、多くの女子大が基金に選定されて、女子の理工学部進学が当たり前になってほしいです。
今回の理工学部新設基金は一大チャンスです。ぜひ、多くの女子大が応募・選定され、女子教育が更に発展することを願っています。