2022 年 WAN 基金から助成をうけ、「わくわくシニアングルズ」は、湯澤直美氏 (立教大学 コミュニティ福祉学部)と北京JACの協力を得て、中高年シングル女性の生活実態調査及び調査報告会の事業を行った。
本事業は、高い貧困率にもかかわらず、隠れた貧困と言われる「中高年シングル女性」の実態を調査し、その実情と声を政治・社会へ届け、貧困解決のための政策提言を行うことを目的に行った事業です。
調査の対象者は、「同居している配偶者やパートナーがいない 40 歳以上」の人、具体的には独身、離婚、死別、非婚/未婚の母、夫等と別居中の方。子ども・親・祖父母・兄弟姉妹等と同居している 方、子ども等の扶養に入っている場合も調査対象としました。調査方法は無記名アンケート方式でウ エブ及び郵送で回答を受付け、期間は2022年8月4日~9月20日までの実施でした。
郵送は当会の関連する女性団体や母子家庭団体に協力依頼し、ウエブでの回答は SNS を使い、関心のある当事者や団体に協力してもらい拡散した。その結果、有効回答2345人の人が回答を寄せてくれ、調査結果を報告書にまとめ、当会の HP にも掲載。
https://seniorsingles.webnode.jp/ 本事業の調査において、中高年シングル女性全体では、正規職員は半数に満たず、非正規職員・自営業では年 収200万未満が半数、不本意非正規職員は半数を超え、とりまく雇用の厳しさがうきぼりになりました。さらに、コ ロナ禍・円安による物価高騰が、中高年シングル女性 の生活を直撃し従前に比べ生活困窮度が増しており、その中で住居費の負担が重くのしかかっていることが明らかになりました。このような深刻な困難に対しての支援については、就労支援を受けたことがない人が6割、抱える悩みや困難は多岐にわたるが、相談先は友人、親など身近な人に相談する人が大半。自治体に相談している人は10.9%、1割ほどしかいないという状況でした。困っているが公的相談につながっていないことも中高年シングルの困難の背景 にあると言えます。
当会はこの調査からみえる雇用から生活全般に至る困窮を、広く知ってもらうために2022年12月4日、主婦連合会との共催で報告会をおこないました。報告会参加者は会場参加13名とズームでの参加 60 名の合計 73 名。最初に当会の代表の大矢から「調査結果の概要、および調査から見えるもの」の報告があり、中高年 単身女性には当事者団体も支援団体もないので、政治に声が届きにくい。中高年単身女性に共通 する課題をあげ様々な属性の人と連携をして、要望を届けたい」という報告がありました。
次にフリーライターの和田さんが「困ったときの相談先や法的支援がないことが問題。当事者の声が届かない。SNS などでつながり、支援が必要だという声を上げていきたい」と述べました。
会員の竹内からは、死ぬまで働きたいと思っていたが病気になってしまった。賃金の男女格差が年金に反映されたままで、モデル年金の外にいる中高年シングル女性への支援がない」と訴えました。最後に、立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美さんからは、「回答者からの怒り、悲鳴が聞こえてくる。存在すら目を向けられていないという今の時代の証言。この現実を緊急の政治課題として扱っていくべき、シングル女性、シニア女性の視点を政策と入れ、だれもが自分が選択した生き方ができるようにしていかなければならない」との問題提起がありました。
この調査は全国紙はじめマスコミ各社・個人が取り上げてくれたこと で、中高年シングル女性の実情への関心が、1 回目の調査(2016年)より各段にあがりました。
それを受けて、当会と北京JACは共同で「中高年単身女性の貧困問題解決ために目を向け、耳を傾けてください」というタイトルの要望書を、本調査をもとに新たに作成し、国会議員へ向けてのロビング活動をお行っているところです。
国会議員の反応・関心度も高いので、要望内容の具体化に向け、この調査を今後も活用していきたい。WAN基金から助成を頂き、このような事業を行うことができ、成果も得られたことに感謝申し上げます。引き続き中高年シングル女性が生きやすい世の中になるよう、政策提言を継続していきます。

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