最新論点を網羅した令和版ジェンダー平等の「現在地」。
本書は、司法分野を軸に、さまざまなジェンダー問題の幅の拡がりと深化を踏まえ、ジェンダー平等に関する最新の論点を網羅し、さらに弁護士実務の観点からも役に立つ情報を届けることを目的とした内容で、弁護士を中心とした法曹三者やロースクール生、法学部生、これから法学を学ぼうとする人にとって必要な法律とジェンダーのテキストになってほしいという思いをもって刊行された、日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会による書籍です。
内容として、家族法、刑法(性犯罪)、DV防止法、労働事件、社会保障と貧困、リプロと性教育や生殖補助医療、性的指向・性自認、障害女性、外国籍女性への差別や困難な問題を抱える女性の法律など、これらの幅広い論点が、弁護士実務としての課題と現在のジェンダー平等の「現在地」として、総勢48名の弁護士の熱のこもった執筆がなされています。
また、近年の事件に勢力的に活動してこられた弁護士による論考も多く、アダルトビデオ(AV)出演被害の実態からAV出演被害防止・救済法の成立や東京医科大学に端を発した医学部入試女性差別事件の裁判などを闘った弁護士らによる論考も所収されています。そして、国会議員、元最高裁判事のお二人から、法律施策決定の現場と夫婦別姓訴訟を中心に迫力あるコラムが届けられています。
今後の課題として挙げられていた民法(親子法関係)、DV防止法が折しも刊行前に改正がなされました。刑法の性犯罪規定の改正もまもなくというところです。法は生きている、ということを思い知らされたとともに、フラワーデモや#MeToo運動の隆盛、当事者や支援者によるエンパワメントの力を感じたこの数年の世の流れと、それでもどうにもならない壁を感じる中で、前向きな気持ちになれるよう『「その壁」を越える――。』という帯のキャッチコピーとしました。
わたしたちが「普通に」生きている中で、ジェンダー不平等に関する違和感をなかなか持ちにくい現状があるとしたら、その「一歩」を知るため、そして、実務をたたかうための本となってほしい――そう願い、広くみなさんの手にとってもらうことができればこれ以上嬉しいことはありません。
■書誌データ
書 名:ジェンダー平等の実現と司法 ――弁護士実務から見る課題と論点
著 者:日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会
頁 数:416頁
刊行日:2023年5月19日
出版社:日本加除出版株式会社
定 価:5,060円(税込み)
2023.05.25 Thu
カテゴリー:著者・編集者からの紹介
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