おひとりさまの逆襲「物わかりのよい老人」になんかならない


「そして、私たちの改悪反対アクションにぜひとも参加していただきたい。
あなた自身のそして20~30年後にこの制度を利用することになる団塊ジュニアのために。」

これは、小島美里さんのあとがきを締めくくる言葉である。

「介護保険が危機を迎えている!」をテーマに上野さんが対談に選んだ小島さんは、2022年、『あなたはどこで死にたいですか?認知症でも自分らしく生きられる社会へ』(岩波書店)を出版している介護事業27年の現場のプロフェッショナル。

上野さんの『在宅ひとり死のススメ』(文春新書、2021年)を読み、「在宅ひとり死のススメ?それどころじゃないのよ、現場は。上野先生わかってないな。」と反発して書いたが、いずれ反論されるだろうと覚悟されてのことだったと小島さんは言う。

この国の為政者たちよって介護保険制度が改悪される。 ①自己負担1割から2割を標準にする。
②要介護1、2の訪問介護、通所介護の総合事業化。
③介護の入り口となるケアプラン作成を有料化する。
④福祉用具の一部をレンタルから買い取りとする。
⑤施設にロボットを導入して職員配置を減らすなど、
2022年秋、史上最悪の改定が目論まれようとしていた。

『誰も「私には関係ない」と言えない』と小島さん、「高齢社会は恵みです」と上野さん。
加齢はすべての人に平等だから、と。高齢化すれば、認知症または中途障がい者となってケアを必要とする。

目を背けないで、懸命に生きる人のためのことを思い、人がつくる制度を知る。
主語はすべての「わたしたち」である。

■ 堀 紀美子 ■