2012.02.14 Tue
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原題は、Happiness and Education 『幸せと教育』であるが、邦訳はより本書の内容を反映していると思う。
憲法に反すると思われる教育基本条例案をごり押ししようとしている大阪府は、その条例案で、「大阪府の教育は、常に世界の動向を注視しつつ、激化する国際競争に対応できるものでなければならない」と、教育を受ける子どもたちを経済力を支える人材であるといってはばかりません。
他方で本書は、人間にとって幸せとは何かを深く考える重要性から論じはじめ、個人の生活と公的生活を結ぶための教育にはどのような理論が必要なのか、はっきりと論じています。とりわけ、現在の世界情勢を考えるならば、ノディングズは、経済的成功を教育は目指すべきではなく、むしろつぎのことが大切だと主張します。
暴力を理解し、未然に防ぐこと。平和教育に関する科目をもっと増やし、薬物乱用について理解し、治療を行うこと。自己理解をうながし、対人関係を増進すること。環境を保護すること(249頁)。
教育に携わる者もまた、幸せでなければ良い教育をできないと喝破する本書は、今からの日本の教育を考えるうえで多くの示唆を与えてくれます。(moomin)