
2023年10月に「WAN女性学ジャーナル」に「『女のからだ』(1974)とフェミニスト翻訳」を掲載していただきました、古川弘子と申します。
荻野美穂先生のご著書『女のからだ フェミニズム以後』(2014、岩波書店)でOur Bodies, Ourselvesと2冊の日本語訳、『女のからだ』と『からだ・私たち自身』のことを知って以来、翻訳にかかわった先輩方の想いと活動に強く心を動かされて研究をしてきました。「この2冊の翻訳書を多くの人に知って欲しい」、「先輩方から受け取ったバトンを次の人に渡すことができたら」と願いながら執筆をした本が、ちくまプリマ―新書の一冊として出版されました。
お手に取っていただければ幸いに存じます。どうぞ宜しくお願いいたします。
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翻訳する際に重要なのは、技術的なことだけではありません。翻訳された言葉にはわたしたちの社会があらわれ、そして翻訳されたものは社会に影響を与えます。本書では、わたしたち一人ひとりが自分を大切にできる社会にするために、翻訳に何ができるのかを考えています。
中学生や高校生から読んでいただけるように、身近な例をたくさん紹介しています。ジェンダーや翻訳に興味がある人、言葉と社会とのかかわりに関心がある人、そして、自分のことや自分のからだのことを好きになりたいと思っている人におすすめの一冊です。
「翻訳には、それまでにあった古い考えにとらわれない、新しい言葉を生み出す可能性があります。そして、社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって『見える化』したり、それまでの偏った見方を変えたりする力があります。」(「はじめに」より)
<「はじめに」のためし読みはこちら>
webちくま
https://www.webchikuma.jp/articles/-/3642
<著者と編集者へのインタビューはこちら>
YouTube「本チャンネル」
https://www.youtube.com/watch?v=OE7hlhT5yGs
【目次(一部)】
はじめに
『プラダを着た悪魔』の主人公はどんな話し方をする?
「ハリー・ポッター」のハーマイオニーには友だちがいない?
小説はフィクション、わたしたちはリアルな存在
[……]
第一章 小説の女たちはどう翻訳されてきたのか
日本語への翻訳とジェンダー
日本語の女ことばと男ことば
翻訳の中の女性はもっとも典型的な女ことばを話す?
翻訳小説の女性の話し方vs現実の女性の話し方
児童文学ではどうなる?
児童文学は保守的。児童文学の翻訳はもっと保守的。
翻訳者が再現しようとすること
汚いとされる表現にも意味がある
[……]
第二章 女たちのために自分たちで翻訳する
一九七〇・八〇年代に、自分でいる力をくれた翻訳があった
女性の健康のバイブル『Our Bodies, Ourselves』
わたしのからだは自分のもの。自分のからだをよく知ろう。
自分を大切に生きる権利は、みんなにある
『Our Bodies, Ourselves』の時代―個人的なことは政治的なこと
『女のからだ』の時代―ウーマン・リブ
『からだ・私たち自身』の時代―ウーマン・リブからフェミニズムへ
フェミニスト翻訳の三つの具体的な方法
『女のからだ』のフェミニスト翻訳の方法
『からだ・私たち自身』のフェミニスト翻訳の方法
[……]
第三章 これからのために翻訳ができること
これから考えられる三つの変化
①一律の女らしさから、それぞれの個性へ
②ネガティブなイメージのない性器の名称へ
③「彼」と「彼女」だけでなく、インクルーシブな代名詞を
◆書誌データ
書 名:翻訳をジェンダーする
著 者:古川弘子
刊行日:2024年9月10日
出版社:筑摩書房
価 格:990円(税込)
新 書: 256ページ(ちくまプリマ―新書)
ISBN-10: 4480684964
ISBN-13: 978-4480684967
<書籍に関する詳細はこちら>
筑摩書房ホームページ
https://www.chikumashobo.co.jp/
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