
憲法とジェンダー法が同時に学べるテキストの登場
本書は、一言で表現されるならば、日本国憲法の教科書である。
日本国憲法の教科書は、これまで数多く出版されてきた。近年、ジェンダー法の教科書も出版されてきている。
しかし、本書が既存の憲法の教科書と異なるのは、憲法(人権分野)とジェンダー法/問題が同時に学べる点であり、この点が、本書の特徴でもある。本書は、主に法学の初学者を対象としたものであり、各章で、憲法の概説とジェンダー法/問題の二部構成からなっている。
ジェンダー問題は、社会のさまざまな場面に存在していると言われている。では、そのさまざまな場面には、どのようなジェンダー差別/構造/問題が存在しているのだろうか。その事実について、ひとつひとつ理解する必要があるように思われる。
これまでの日本国憲法の教科書では、ジェンダー問題は主に14条の「法の下の平等」や24条の「家庭生活の個人の尊厳や両性の本質的平等」の条文の説明としてのみに扱われてきたと思われるし、本書の憲法概説部分ではそのような内容になっている。
だが、本書は、日本国憲法の各トピックと、それに該当する各ジェンダー法/問題についても解説している。この点から、ジェンダー問題が社会のさまざまな場面――本書では、人権問題に関するあらゆる場面――に存在していることを体系的に学べ、ジェンダー平等の課題をより明確に認識できるようになっている。
◆書誌データ
書名 :ジェンダーの視点で学ぶ憲法入門
著者 :川口 かしみ
頁数 :240頁
刊行日:2025/02/25
出版社:大月書店
定価 :2750円(税込)
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