
今、SNSを中心に「体育嫌い」が関心を集めています。
そうした話題を眺めると、「体育嫌い」は「運動が苦手な本人のせい」、はたまた「熱血な体育教師のせい」=個人のせいと考えている人も多いように思います。
先行研究も多くは「運動をできるようにする」方向性のもので、体育教師の視点からのものでした。
しかし、著者の4名は「体育嫌い本人たちの声(語り)から出発する」研究を長年行ってきました。
そして、「体育嫌い」の原因が、カリキュラムを含んだ体育という教科そのもの、そしてそれをつくり出す社会構造にあることを、ジェンダー・セクシュアリティの視点から本書で解き明かします。
「女性は男性より体力に劣っている」「男はできて当たり前」「LGBTQ+はうちのクラスにはいない」といった「体育の当たり前」を、この本で一緒に問い直してみませんか?
「体育嫌い」は好き嫌いの問題に矮小化されがちですが、スポーツをする権利・教育を受ける権利を子どもたちから剥奪するという人権問題です。
しかし、体育教師個人を糾弾するだけでは、問題は解決しません。
「体育嫌い vs. 体育好き」や「体育嫌い vs. 体育教師」といった二項対立を超えていく必要があります。
そこで、体育嫌いも体育好きも、共に考え、「体育の当たり前」そして社会のしくみを問うていくために、「あなたのせいじゃない」をキーワードに編集しました。
体育の先生、学校関係者はもちろん、「体育嫌い」の方、「体育嫌い」のお子さんを持つ保護者の方など、「どうして自分は/あの子は『体育嫌い』なんだろう」と思ったことのあるすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
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本書のおすすめポイント
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★「体育嫌い」の背景には、教育現場におけるジェンダー・セクシュアリティの課題があることをわかりやすく解説
★体育嫌い当事者の語りや、「水着着たくない」「集団行動が軍隊みたい」「体育ができる男=モテるのマウントがしんどい」など、あるあるが満載!
★「体育嫌い」を排除せずエンパワーする、「誰ひとり置き去りにしない体育」へのヒントを提案
◆書籍購入、試し読み
https://www.taishukan.co.jp/book/b10107490.html
◆書誌データ
書名 :どうして「体育嫌い」なんだろうージェンダー・セクシュアリティの視点が照らす体育の未来
著者 :井谷惠子・井谷聡子・関めぐみ・三上純
頁数 :288頁
刊行日:2025/2/20
出版社:大修館書店
定価 :2,420円(税込)
ISBN :978-4-469-26999-4
