
チューリップの国から国へ
ソマイア・ラミシュさんの詩集の表紙を今回担当しました。最初に浮かんだのは彼女の祖国アフガンに広がる青空とチューリップでした。この花は祖国アフガンと亡命先オランダ、両方の国花。
青空を意図したのは日本を始め世界のさまざまな国がアフガンに対しネガティブな印象を持っていました。だからといって詩集の表紙までそのイメージに押しつぶされてはいけない!そう思ったのです。彼女の詩は感情をダイレクトに揺さぶる。いつだって彼女の詩の対象は自己のナルシズムではなく愛する他者。そこに彼女の慈愛と強さを感じます。しかし現在、タリバン政権下ではその「愛」を発表する場すら取り上げてしまう。怒りと嫌悪で拳を振り上げたくなるのでした。気持ちを言葉に置き換える事ができるのが人としての性。彼女の詩集はこの風景で始まります。
(私はあなたの最後の笑みを額縁に入れ、壁に掛けて飾りたいと思っていた。
でも、自爆テロによってわたしの家は吹き飛んでしまったの。)
吹き飛んだことによって悲しみという額縁に覆われ、「彼、または彼女」の笑みは世界中に広まりました。最初にソマイアさんの詩を受け止めたのは北海道旭川の一人の詩人。その悲しみの笑みを詩人は伝え「詩の檻はない」という詩集にまずは紡がれたのでした。それは素敵なドキュメンタリーの始まり。国籍、性別を越えて彼女の応援をしたいです。愛しの真っ赤なチューリップを。
署名 :ソマイア・ ラミシュ詩集
(わたしの血管を貫きめぐる、地政学という狂気)
著者名:ソマイア・ ラミシュ
頁数 :74ページ
刊行日:2024年11月11日
発行所:バームダード
定価 :1200円
ソマイア・ラミシュ詩集 私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気: madness of geography in my veins (MyISBN - デザインエッグ社)
著者:Somaia Ramish
デザインエッグ社( 2024/11/11 )
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