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ハンサム妊婦!?・・・とは程遠い我が現実 にちか
2012.11.30 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.半年ほど前、「ニンカツ」という言葉を初めて聞いた。それが「妊娠活動」の略であることはすぐに分かったけれど、なぜかその語感に衝撃を受けた。妊活という単語は主に働き続けることを想定した女性と関連して語られることが多いようだ。自分の身体を知り、メンテナンスし、各所で協力関係をつくりながら計画的に諸手続きもお忘れなく・・・などなど、これが今の「ハンサムウーマン」ならぬ、「ハンサム妊婦」なのかなぁとしみじみしてしまった。一方、私はこの度そんなハンサム妊婦とは程遠いぐずぐずのへなちょこ妊婦となった。
私はつわりが重かった。家事以前に自分の食事すらまともにできず寝たきり生活になり、いわゆる女性役割的には全く使えない「都合の悪い女」だったろうし、つわりはいつまで続くのか、赤ちゃんは無事なのか、私の身体はどうなっていくのか・・・などなど知りたいことは尽きない。ある意味「好奇心の塊」のような状態だった。(同じようなキーワードで切り取ったとて、前回のエッセイで話題になっていた新島八重さんとは随分と違うところまで来てしまった。)とにかく一日一日がうんざりするほど長く、ただ耐えるだけの辛い生活を2ヶ月ほど過ごした。私の意思とは関係なくどんどん変わっていく自分の身体が怖かった。
実際つわりを経験してみて、小説やドラマなどでつわりが大抵1~2ページか、数分しか描かれていない事が多く、不満をいだいた。確かに個人差は大きいけど、つわりの存在感はそんなに軽くはないと思うのだ。
本を読める程度に元気になった頃、小川洋子さんの『妊娠カレンダー』を読み返し、そこでのつわりの扱いにやっと私は満足した。日記形式で日付の後に「○週○日」という妊娠の経過日数を表す特有の数字が並ぶ。この数字は、例えば○週目からつわりが始まる人が多いとか、○週○日には赤ちゃんの骨ができてくるとか、母体はこんな風に変わるとか、どれくらいの時期にどんなことが起こるのかの指標となる。知っている人にとってはその数字だけで、どういう時期か分かる。そういう訳で、妊娠後に読み返してみて以前より生々しく時間の流れを理解することができ、より楽しむことが出来た。それから、この物語の書き手(語り手)は妊婦本人ではなく同居している妹なのだが、それがかえってつわり中の妊婦が周りにどんな風に見え、どんなとまどいを与えるのか、妹に語りかける姉の切実な言葉は、妊娠の経験に関係なく読んでいて想像しやすいのではないだろうか。小川洋子さん特有の背中がひんやりとして少し胸がざわつく描写が苦手でなければ、是非読んでみてほしい。
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つわりが落ち着いてきて、次なる関心は出産である。何かいい小説はないかと探してきたのが小川糸さんの『つるかめ助産院』だ。妊娠や出産を過度に神秘的なものとして演出していない所が気に入っている。出産のシーンは臨場感があり思わず緊張してしまうほど。出産って痛いだけでなくまさしく命がけなわけですごく怖いのが今の正直な気持ちだけど、でもなんとかなる、頑張れそう、頑張ろう、そんな気持ちになった。
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そしてそして、無事に出産が終わればついに育児が始まる。全くの未知の世界でドキドキする。実は、妊娠する前に読んで、一気に子ども欲しい熱が上がった一冊がある。瀧波ユカリさんの『はるまき日記 偏愛的育児エッセイ』。『臨死!!江古田ちゃん』の作者が文字で綴った、育児日記である。淡々と真面目な語り口で面白いことだけでなく動揺したこと、大変なことを同じ調子で書いてあるのがいいなと思った。
ずっと、いつかは子どもが欲しいと思っていた。その「いつか」がいつなのか中々決められなかったし、いざその時が来ても戸惑うばかり。思い切って一歩踏み出した。もう後戻りはできない。大変だろうが辛かろうがやるしかないのだから、あんまり煮詰まらないよう、ぼちぼちやっていきたい。(第4週目・第21回)
次回「赤ちゃんからみた世界ってどんなの?」へバトンタッチ・・・・つぎの記事はこちらから
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